ノルマルヘキサン抽出物質とは(鉱油類と動植物油脂類の違い・油分の指標)

エコまる

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ノルマルヘキサン抽出物質って、結局なにを測っているの?

ノルマルヘキサン抽出物質は、水の中の「油分」をまとめて表す指標です。

試料をノルマルヘキサン(n-ヘキサンという溶媒)で抽出し、その溶媒を蒸発させて残った物質の量で表します。

排水基準では、油分を鉱油類動植物油脂類に分けて許容限度が決められています。

ノルマルヘキサン抽出物質とは(水中の油分をまとめて表す指標)

ノルマルヘキサン抽出物質とは、試料をノルマルヘキサンで抽出し、溶媒を揮散させたときに残る物質の総量です。

水の中の油分は、鉱物油や食用油などいろいろな種類が混ざっています。これらをひとつずつ測るのは大変です。

そこで、油になじむ溶媒であるノルマルヘキサンで油分をまとめて取り出し、その重さで「油分の量」を表します。

値が大きいほど、水に含まれる油分が多い(汚れている)ことを示します。

油は水面に膜を作って酸素のとけ込みをさまたげるため、油分は水域の汚染につながります。だから排水での油分は規制の対象になります。

沈殿では沈みにくい油分は、加圧浮上などで水面に浮かせて取り除きます。

鉱油類と動植物油脂類の違い(なぜ排水基準が分かれるのか)

排水基準では、ノルマルヘキサン抽出物質を鉱油類動植物油脂類の2つに分けて扱います。

鉱油類は石油から作られる油で、機械油や潤滑油などです。機械工場や石油を扱う事業所から出ます。

動植物油脂類は食用油などの油脂で、食品工場や調理場から出ます。

2つに分けるのは、許容限度が違うからです。図で押さえます。

ノルマルヘキサン抽出物質 =水中の油分の指標 鉱油類 石油由来の油 (機械油・潤滑油) 基準はきびしい 動植物油脂類 食用油などの油脂 (食品工場・調理場) 基準はゆるい

同じ油分でも、石油由来の鉱油類は分解されにくく環境への影響が長く残るため、動植物油脂類より厳しい基準になっている。

許容限度を表にまとめます。鉱油類のほうが値が小さく、きびしい基準です。

区分 主な発生源 排水基準の許容限度
鉱油類(石油由来) 機械工場・石油を扱う事業所 5 mg/L 以下
動植物油脂類(食用油など) 食品工場・調理場 30 mg/L 以下

このノルマルヘキサン抽出物質は、水質汚濁防止法の排水基準のうち生活環境項目に入る項目です。

同じ油分でも区分で限度が違うので、排水基準を読むときは鉱油類か動植物油脂類かを取り違えないことが大切です。

ノルマルヘキサン抽出物質の測り方(BOD・CODとどう違うか)

測り方は、油になじむ溶媒で油分を取り出し、その重さをはかる、という流れです。

まず試料を酸性に調整します。次にノルマルヘキサンを加えて油分を溶媒側へ移し、その溶媒を加熱して揮散させます。残った物質の量が、ノルマルヘキサン抽出物質です。

測り方の流れ 試料を 酸性にする ヘキサンで 抽出する 加熱して 揮散させる 残りを 量る=油分

溶媒(ノルマルヘキサン)で油分を取り出し、溶媒を飛ばして残った重さを量る。化学反応や微生物の分解は使わない。

ここがBOD・CODとの大きな違いです。

BODやCODは、有機物を微生物や酸化剤で分解するときに使う酸素の量で「汚れ」を表します。つまり分解のしやすさで測ります。

ノルマルヘキサン抽出物質は、分解を使いません。油分を溶媒で取り出した抽出量そのもので測ります。

同じ「水の汚れ」でも、BOD・CODは有機物全体の量、ノルマルヘキサン抽出物質は油分にしぼった量、と役割が分かれます。

汚水処理特論での問われ方

測り方の手順を入れ替える正誤問題が出ます。

令和5年度 汚水処理特論 問23では、抽出の前に試料を「pH8以上の弱アルカリ性とし」とする記述が誤りでした。正しくは、油分を溶媒へ移しやすくするため試料を酸性に調整します。

アルカリ性のままだと、脂肪酸などが石けんのように水になじむ形になり、ヘキサン側へ移りにくく回収率が落ちます。だから酸性にしてから抽出します。

同じ問では、対象が動植物油脂類や鉱物油類であること、脂肪酸類・エステル類・界面活性剤などもヘキサンに抽出されて測定値に含まれること、は正しい記述として出ています。

まちがえやすいポイント

「酸性かアルカリ性か」と「どちらの基準がきびしいか」が狙われます。

抽出の前に試料は酸性に調整します。弱アルカリ性とするのは誤りです。また排水基準がきびしいのは鉱油類(5 mg/L)で、動植物油脂類(30 mg/L)より小さい値です。

理解度チェック

Q.

ノルマルヘキサン抽出物質は、水中の何をまとめて表す指標か。

油分です。試料をノルマルヘキサンで抽出し、溶媒を揮散させて残った物質の量で表します。

Q.

抽出の前に、試料は酸性とアルカリ性のどちらに調整するか。

酸性です。油分を溶媒へ移しやすくするためで、アルカリ性のままでは回収率が落ちます。「弱アルカリ性とし」は誤りでした(令和5年度 汚水処理特論 問23)。

Q.

鉱油類と動植物油脂類で、排水基準の許容限度がきびしい(値が小さい)のはどちらか。

鉱油類です。鉱油類は5 mg/L以下、動植物油脂類は30 mg/L以下で、石油由来で分解されにくい鉱油類のほうがきびしい基準です。

まとめ

ノルマルヘキサン抽出物質は、水中の油分をまとめて表す指標です。試料をノルマルヘキサンで抽出し、溶媒を揮散させて残った物質の量で測ります。

BOD・CODが分解のしやすさで汚れを測るのに対し、ノルマルヘキサン抽出物質は溶媒抽出量で油分を測ります。排水基準は鉱油類(5 mg/L)と動植物油脂類(30 mg/L)で分かれ、鉱油類のほうがきびしい点を押さえれば、汚水処理特論の問題に対応できます。

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参考

  • 排水基準を定める省令(昭和46年総理府令第35号)別表第一 生活環境項目(ノルマルヘキサン抽出物質含有量:鉱油類5mg/L・動植物油脂類30mg/L)
  • JIS K 0102 工場排水試験方法 第24項(ノルマルヘキサン抽出物質の試験)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(汚水処理特論 令和5年問23)・公式正答

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。