水質の環境基準にある「健康項目」と「生活環境項目」、何がどっちに入るのか・基準の決め方がどう違うのかで混乱しませんか。BODやひ素がどちらかも含めて整理します。
この記事の要点
公共用水域の水質環境基準は、目的の違う2種類に分かれています。
「水質の環境基準」とひとことで言っても、守ろうとしているものが2通りあります。
1つは人の健康、もう1つは川や湖の生活環境(魚がすめるか、泳げるか等)です。
この2つが、健康項目と生活環境項目です。
健康項目とは、人の健康を保護するために定められた水質環境基準です。
カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、ひ素、総水銀、PCB、トリクロロエチレンなど、人の健康に害のある物質が対象です。
これらは、口に入ると健康被害につながるため、川・湖・海のすべての公共用水域に、一律の基準値が定められています。
達成しているかの評価は、原則として年間の平均値で行います(ただし全シアンは年間の最高値で評価します)。
生活環境項目とは、生活環境を保全するために定められた水質環境基準です。
pH(水素イオン濃度)、BOD・COD、SS(浮遊物質)、DO(溶存酸素)、大腸菌数、全窒素・全燐などが対象です。
これらは、水の利用目的(飲み水用か、水産用か、水浴用か等)によって求められる水質が違います。
そのため、水域ごとにあてはめる類型(AA・A・Bなどの区分)が決められ、類型ごとに基準値が変わります。
BODとCODの達成評価には、75%水質値(測定値を小さい順に並べ、下から75%目の値で判定する方法)を使います。
2つの違いを表にまとめます。
| 観点 | 健康項目 | 生活環境項目 |
|---|---|---|
| 守るもの | 人の健康 | 生活環境(水の利用) |
| 主な項目 | カドミウム・全シアン・鉛・六価クロム・ひ素・総水銀 など | pH・BOD・COD・SS・DO・全窒素・全燐 など |
| 基準値の決め方 | 全公共用水域に一律 | 水域の類型ごとに異なる |
| 達成評価 | 原則 年間平均値(全シアンは年間最高値) | BOD・CODは75%水質値 |
2つの分類を図で押さえます。
水質環境基準は健康項目(有害物質・全水域一律)と生活環境項目(BOD等・類型ごと)の2本立て。BODやひ素がどちらかをセットで覚える。
健康項目と生活環境項目は、水質概論や公害総論で、項目の分類や達成状況・評価方法として問われます。
令和5年度 水質概論 問5では、生活環境項目であるBODが河川に、CODが湖沼・海域に適用されること、全窒素・全燐が湖沼・海域に適用されることが問われました。
令和2年度 水質概論 問5では達成状況の評価方法が問われ、健康項目は原則年間平均値(全シアンは最高値)、生活環境項目のBOD・CODは75%水質値で評価する、が論点でした。
令和7年度 公害総論 問10では、健康項目の達成率が99%以上で、超過地点が最も多いのはひ素であること、生活環境項目(BOD又はCOD)の達成率が最も低いのは湖沼であることが問われました。
「健康項目=有害物質・一律・年間平均値」「生活環境項目=BOD等・類型ごと・BOD/CODは75%水質値」を軸に整理すると、分類も評価方法も答えられます。
BODやCODは、健康項目と生活環境項目のどちらに含まれるか。
答え:生活環境項目
BOD・COD・DO・全窒素・全燐などは生活環境項目です。ひ素・カドミウムなどの有害な物質が健康項目です。
健康項目と生活環境項目のうち、全公共用水域に一律の基準値が定められているのはどちらか。
答え:健康項目
健康項目は全水域一律です。生活環境項目は、水域の利用目的(類型)ごとに基準値が変わります。
生活環境項目のBOD・CODは、何という方法で達成状況を評価するか。
答え:75%水質値
健康項目は原則 年間平均値(全シアンは年間最高値)で評価します。BOD・CODは75%水質値です。
水質の環境基準は、健康項目と生活環境項目の2本立てです。
健康項目はひ素・カドミウム等の有害な物質で全公共用水域に一律、生活環境項目はBOD・COD・DO等で水域の類型ごとに基準値が変わります。
達成評価も、健康項目は原則年間平均値(全シアンは最高値)、生活環境項目のBOD・CODは75%水質値と違います。どの項目がどちらかをセットで覚えましょう。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
達成状況の評価方法が、健康項目と生活環境項目で取り違えられます。
健康項目は原則年間平均値(全シアンは最高値)、生活環境項目のBOD・CODは75%水質値で評価するのが正しく、どの項目がどちらかとセットで問われます。