排水の窒素を微生物で除くのに、なぜ「酸素あり」と「酸素なし」の2段階がいるの?と思いませんか。硝化と脱窒は、必要な条件が正反対だからです。整理します。
この記事の要点
排水中の窒素を微生物で除く生物学的窒素除去は、硝化と脱窒の2段階で進みます。必要な条件が逆になります。
排水中の窒素(アンモニア性窒素など)は、富栄養化の原因になるため除去が必要です。微生物の力で窒素ガスにして大気へ逃がすのが、生物学的窒素除去です。
この処理は、条件のまったく違う2つの段階からなります。
硝化とは、好気状態(酸素あり)で、硝化菌がアンモニア性窒素を、亜硝酸を経て硝酸まで酸化する反応です。
硝化菌は酸素を使ってアンモニアを酸化します。そのため、硝化には酸素(曝気)が必要です。なお、硝化菌は増殖が遅い菌で、流されると保ちにくいという特徴があります。
脱窒とは、無酸素状態で、脱窒菌(通性嫌気性細菌)が硝酸を窒素ガス(N₂)に還元し、大気へ逃がす反応です。
脱窒菌は、酸素がない条件で、硝酸の酸素を使って呼吸します。このとき、有機物(メタノールなど)を水素供与体(エサ)として消費します。酸素があると、脱窒菌は酸素のほうを使ってしまい、脱窒が進みません。
好気の硝化でアンモニア→硝酸、無酸素の脱窒で硝酸→窒素ガス。条件(酸素あり/なし)が逆になる。
生物学的窒素除去は、汚水処理特論で、硝化・脱窒の条件や反応の向きとして問われます。
令和7年度の汚水処理特論(問16)では、通性嫌気性細菌の脱窒素反応で、硝酸を窒素に還元するために理論的に必要なメタノールの量を、反応式から求める問題が出ました。脱窒では有機物(メタノール)を還元のためのエサに使う、という点が前提になります。
混同しやすい用語
硝化 と 脱窒
どちらも窒素を扱う反応ですが、酸素の条件と反応の向きが正反対です。
硝化は好気(酸素あり)でアンモニアを硝酸に酸化、脱窒は無酸素で硝酸を窒素ガスに還元します。
「硝化=好気=酸化(硝酸まで上げる)」「脱窒=無酸素=還元(窒素ガスに落とす)」とセットで覚えます。
硝化と脱窒は、それぞれ好気・無酸素のどちらで進み、窒素をどう変えるか。
答え:硝化=好気でアンモニアを硝酸に酸化、脱窒=無酸素で硝酸を窒素ガスに還元
順番は硝化(好気)→脱窒(無酸素)です。条件が逆になります。
脱窒で、硝酸を窒素ガスに還元するために脱窒菌が消費するものは何か。
答え:有機物(メタノールなど)を水素供与体(エサ)として消費する
有機物が足りない排水では、メタノールなどを外から加えることがあります。
生物学的窒素除去は、条件の逆な2段階で進みます。
硝化は好気でアンモニアを硝酸に酸化し、脱窒は無酸素で硝酸を窒素ガスに還元します(脱窒では有機物をエサに使う)。順番は硝化→脱窒です。
「硝化=好気・酸化」「脱窒=無酸素・還元」と、条件と向きをセットで覚えておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
硝化と脱窒の、酸素の条件(好気か無酸素か)を入れ替えるのが狙いです。
硝化は好気(酸素が必要)、脱窒は無酸素(酸素があると進まない)です。条件が逆になる点と、脱窒では有機物(メタノールなど)をエサに使う点を押さえます。順番は硝化→脱窒です。