りんを微生物で除くのに、なぜ一度「りんを吐き出させる」の?と不思議に思いませんか。嫌気でわざと放出させてから、好気でそれ以上に吸わせる——その仕掛けを整理します。
この記事の要点
生物学的りん除去(嫌気好気法)は、活性汚泥に「嫌気→好気」を経験させて、微生物にりんを過剰に取り込ませる方法です。
排水中のりんは、窒素とともに富栄養化の原因になります。これを微生物の力で除くのが、生物学的りん除去です。
ポイントは、りんを取り込む微生物(りん蓄積細菌)に、嫌気と好気を交互に経験させることです。
まず嫌気状態(酸素も硝酸もない状態)にします。
すると、りん蓄積細菌は細胞内にためていたポリりん酸を分解して、りんを水中に放出します。このため、嫌気の段階では混合液のりん濃度が一時的に上がります。
同時に、細菌は水中の有機物を取り込んで、細胞内に貯蔵します(このあと好気で使うエネルギー源になります)。
次に好気状態(酸素あり)にします。
細菌は、嫌気でためた有機物を酸化してエネルギーを得ながら、水中のりんを、さきほど放出した以上に過剰に摂取し、ポリりん酸として細胞内に蓄積します。
つまり「嫌気で少し吐き出させてから、好気でそれ以上に吸わせる」ことで、結果的に細菌が多くのりんを取り込みます。
嫌気でりんを放出、好気で放出した以上に過剰摂取。りんを取り込んだ汚泥を余剰汚泥として引き抜いて除去する。
では、過剰に取り込ませたりんは、最終的にどうやって系の外に出すのでしょうか。
答えは、りんを多く取り込んだ汚泥を、余剰汚泥として系外に引き抜くことです。りんは汚泥(微生物)の中に取り込まれているので、その汚泥を抜けば、りんも一緒に除かれます。
沈殿池でりん(ポリりん酸)だけが水と分かれて除かれるのではなく、りんを抱えた汚泥ごと抜くのがポイントです。
生物学的りん除去は、汚水処理特論で、嫌気・好気でのりんの動きとして問われます。
令和7年度の汚水処理特論(問17)では、「嫌気状態では細胞内のポリりん酸が分解して混合液中のりん酸濃度が上昇する」「好気状態ではポリりん酸の顆粒が生成される」が正しい記述として並びました。一方で、りんの除去を「最終沈殿池で汚泥からポリりん酸が分離されることによる」とするのは誤りで、実際はりんを取り込んだ汚泥を引き抜くことで除去します。
混同しやすい用語
嫌気(放出) と 好気(摂取)
りんが「出る」のか「入る」のか、嫌気と好気で逆になります。
嫌気ではポリりん酸を分解してりんを放出(水中のりん濃度が上がる)、好気では放出した以上にりんを過剰摂取してポリりん酸を蓄積します。
「嫌気=放出、好気=摂取」「最後は汚泥を引き抜いて除く」とセットで覚えます。
生物学的りん除去で、嫌気状態と好気状態では、りんはそれぞれどうなるか。
答え:嫌気=りんを放出(水中のりん濃度が上がる)、好気=放出した以上にりんを過剰摂取(ポリりん酸として蓄積)
「嫌気で吐き出させて、好気でそれ以上に吸わせる」のが仕掛けです。
過剰に取り込ませたりんは、最終的にどうやって系外に除くか。
答え:りんを取り込んだ汚泥を、余剰汚泥として系外に引き抜く
りんは汚泥(微生物)の中にあるので、汚泥ごと抜けばりんも除かれます。
生物学的りん除去は、嫌気と好気を交互に使う方法です。
嫌気でりんを放出させ、好気でそれ以上に過剰摂取させてポリりん酸として蓄積し、りんを取り込んだ汚泥を引き抜いて除去します。
「嫌気=放出、好気=摂取、最後は汚泥を引き抜く」と覚えておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
嫌気・好気でのりんの出入りの向きと、最終的な除去のしかたが狙われます。
嫌気でりんを放出、好気で過剰摂取し、りんを取り込んだ汚泥を引き抜いて除去します。「沈殿池でポリりん酸が分離されてりんが除かれる」のではない点に注意します(汚泥ごと抜くのが正解)。