どちらも微生物で汚れを食べさせる処理なのに、何が違うの?と迷いませんか。違いは「微生物が水中に浮いているか、担体にくっついているか」の一点です。そこから整理します。
この記事の要点
どちらも微生物に有機物(汚れ)を食べさせる生物処理ですが、微生物の居場所が違います。
工場排水や下水の有機物(よごれ)は、微生物に食べさせて減らすのが基本です。この生物処理は、微生物の住まわせ方で大きく2つに分かれます。
違いは「微生物をどこに住まわせるか」だけです。ここを押さえると、それぞれの長所・短所が自然に理解できます。
活性汚泥法とは、微生物のかたまり(フロック)を水中に浮かせた状態で、曝気しながら有機物を食べさせる方法です。
曝気槽で空気を送って微生物と排水をよく混ぜ、そのあと最終沈殿池で微生物のフロックを沈めて、上ずみのきれいな水と分けます。
沈めた汚泥の一部は曝気槽へ戻して(返送汚泥)、槽内の微生物の量を保ちます。詳しくは活性汚泥法の記事で解説しています。
生物膜法とは、ろ材やプラスチックなどの担体の表面に微生物を膜状に付着させ、そこに排水を接触させて有機物を食べさせる方法です。
代表的なものに、ろ材の上から排水を散布する散水ろ床、円板を半分水につけて回す回転円板、担体を槽に詰める接触曝気・生物ろ過などがあります。
微生物が担体に固定されているため、活性汚泥法のように汚泥を返送しなくても、槽内に微生物を保ちやすいのが特徴です。
微生物をゲルなどに包み込んで粒状の担体にする「包括固定化担体」も、担体に微生物を保持して使う生物膜法のなかまです。
活性汚泥法は微生物が水中に浮遊、生物膜法は担体の表面に膜状に付着。居場所の違いが、特徴の違いにつながる。
担体に微生物がしっかり付いていることから、生物膜法には次の長所があります。
一方で、短所もあります。たとえば固定床(担体を動かさないタイプ)では、はがれ落ちた微生物が担体のすき間に詰まり、支持体を閉塞させることがあります。
| 項目 | 活性汚泥法 | 生物膜法 |
|---|---|---|
| 微生物の居場所 | 水中に浮遊(フロック) | 担体に付着(膜状) |
| 分類 | 浮遊生物法 | 付着生物法 |
| 代表例 | 標準活性汚泥法ほか | 散水ろ床・回転円板・接触曝気・包括固定化 |
| 汚泥の返送 | 返送して微生物量を保つ | 基本は不要(担体に保持) |
| 得意なこと | 生物膜法は増殖の遅い硝化菌を保持しやすく、負荷変動に強い/活性汚泥法は汚泥量を返送で柔軟に調整できる | |
混同しやすい用語
生物膜法 と 膜分離活性汚泥法(MBR)
どちらも「膜」とつくため混同しがちですが、まったく別物です。
生物膜法の「膜」は、担体に付いた微生物の膜のこと。一方、膜分離活性汚泥法(MBR)の「膜」は、固液分離に使うろ過の膜(精密ろ過・限外ろ過)のことです。
MBRは、微生物は浮遊させたまま(活性汚泥法のなかま)で、最終沈殿池の代わりにろ過膜で水と汚泥を分ける方法です。「微生物の膜」か「ろ過の膜」かで区別します。
生物膜法は、汚水処理特論で、その長所・短所の形で問われます。
令和7年度の汚水処理特論(問14)では、「硝化菌など増殖速度の遅い微生物を保持できる」「負荷変動に対し抵抗力が強い」「SS除去能力が高く処理水の透視度が高い」といった長所が、正しい記述として並びました。
生物膜法の利点を問う問題では、この「増殖の遅い菌を保持できる・負荷変動に強い」という方向を、長所として押さえておくのが土台になります。
活性汚泥法と生物膜法は、微生物の居場所がどう違うか。
答え:活性汚泥法は水中に浮遊(フロック)、生物膜法は担体の表面に付着(膜状)
活性汚泥法は浮遊生物法、生物膜法は付着生物法に分類されます。
生物膜法が、増殖速度の遅い硝化菌を保持しやすいのはなぜか。
答え:微生物が担体に付着して固定されており、流されにくいから
ゆっくり増える菌も担体に住み続けられるため、硝化菌などを保持でき、負荷変動にも強くなります。
活性汚泥法と生物膜法は、どちらも微生物による生物処理ですが、微生物の居場所が違います。
活性汚泥法は微生物が水中に浮遊(浮遊生物法)、生物膜法は担体の表面に膜状に付着(付着生物法)。生物膜法は増殖の遅い硝化菌を保持でき、負荷変動に強いのが特徴です。
名前の似た「膜分離活性汚泥法(MBR)」は、ろ過膜で分離する浮遊法であり、生物膜法とは別物です。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
「膜」とつく名前の取り違えに注意します。
生物膜法(担体に付着した微生物の膜)と、膜分離活性汚泥法(MBR=ろ過膜で固液分離する浮遊法)は別物です。「微生物の膜」か「ろ過の膜」かで区別します。