令和5年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問9を解説|凝集沈殿の適用
令和5年度 水質有害物質特論 問9は、凝集沈殿が用いられない排水を選ぶ問題です。
この問題のポイント
凝集沈殿は、薬品でフロック(かたまり)をつくって沈めることで、水にとけにくい重金属や、共沈で固体になる成分を取り除く方法です。水銀・シアン・ふっ素・クロム(Ⅵ)は、いずれも沈殿や共沈で固体にできるので凝集沈殿が使えます。分かれ目は、アンモニアは水にとけたガス由来の成分で、フロックにして沈める相手ではないという点です。アンモニアはストリッピングで気体として追い出すか、生物学的な硝化・脱窒で窒素に変えて除くのが基本です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)
各選択肢の可否
| 選択肢 | 凝集沈殿 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(用いられる) | 水銀は硫化物などで沈め、凝集沈殿で分離できます。 |
| (2) | ○(用いられる) | シアンは分解後や共存金属とともに凝集沈殿で処理できます。 |
| (3) | ×(用いられない) | 溶けたアンモニアはフロックにして沈められません。ストリッピングや硝化・脱窒で除きます。 |
| (4) | ○(用いられる) | ふっ素はふっ化カルシウムや水酸化物共沈で沈め、凝集沈殿で分離できます。 |
| (5) | ○(用いられる) | クロム(Ⅵ)は還元して水酸化クロム(Ⅲ)とし、凝集沈殿で分離できます。 |
選択肢(3)のポイント(ここが分かれ目)
凝集沈殿が効くのは、固体にできる成分です。薬品でフロックをつくり、その中に重金属や共沈成分を取り込んで沈めます。ところがアンモニアは、水の中でアンモニウムイオンや溶存アンモニアとして存在する溶けた窒素成分で、フロックにして沈む相手ではありません。そのため、pHを上げて気体として追い出すアンモニアストリッピングや、微生物で硝酸を経て窒素ガスに変える硝化・脱窒が使われます。ほかの4つは沈殿・共沈で固体化できるため凝集沈殿が適用できます。
覚え方
- 凝集沈殿は固体にできる成分向け。溶けたアンモニアは対象外。
- アンモニアはストリッピング(気体化)か硝化・脱窒(生物処理)で除く。
理解度チェック
Q.
アンモニア排水に凝集沈殿が向かないのはなぜ?
アンモニアは水に溶けた窒素成分で、フロックにして沈められないからです。ストリッピングや硝化・脱窒で除きます。
Q.
クロム(VI)は凝集沈殿で処理できる?
できます。還元して水酸化クロム(Ⅲ)にすれば固体になり、凝集沈殿で分離できます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月