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凝集沈殿とは(凝集剤でコロイドを集めて沈める仕組み)

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「凝集沈殿」って結局、何を、どうやって沈めているのかがつかみにくくありませんか。沈みにくい小さな汚れを、薬剤で塊にして沈める流れを順番に整理します。

この記事の要点

凝集沈殿は、水中の小さすぎて自然には沈まない汚れ(コロイド・微粒子)を、凝集剤という薬剤で大きな塊にまとめてから沈める処理です。

進め方は次の流れです。

  • 凝集剤を入れて素早く混ぜる(急速撹拌)=粒子の電気的な反発を打ち消す
  • ゆっくり混ぜる(緩速撹拌=フロック形成)=小さな粒どうしをくっつけて大きな塊(フロック)に育てる
  • 沈殿池で沈める=育ったフロックを重さで沈めて、上澄みと分ける

濁りやSS(浮遊物質)のほか、りんの除去にも使われます。

排水を沈殿池に入れて静かに置けば、砂や大きなごみは自分の重さで沈みます。

ところが、水を濁らせている細かい粒子(コロイド)は、いつまでたっても沈んできません。

この「沈まない汚れ」を沈むようにする工夫が、凝集沈殿です。

凝集沈殿とは(なぜ薬剤が要るのか)

凝集沈殿とは、沈みにくいコロイドや微粒子を凝集剤でひとまとめにし、大きな塊(フロック)に育ててから沈殿させて取り除く処理です。

水を濁らせている細かい粒子は、表面が同じ符号(多くはマイナス)の電気を帯びています。

同じ符号どうしは反発し合うため、粒子はくっつけずにバラバラのまま水中を漂い続けます。

粒子がとても小さいと、自分の重さより水から受ける抵抗のほうが勝ってしまい、自然には沈みません。

そこで、反対符号(プラス)の薬剤=凝集剤を加えて、粒子表面の電気を打ち消します(電荷の中和)。

反発がなくなった粒子は、ぶつかったときにくっつけるようになり、やがて目に見える大きさの塊=フロックに育ちます。

大きくなったフロックは重さで沈むようになるので、沈殿池で水と分けられます。

小さくて沈まない汚れを、薬剤の力で「沈むくらい大きな塊」に変えてから沈める。これが凝集沈殿の中心です。

処理の流れ(急速撹拌→緩速撹拌→沈殿)

凝集沈殿は、混ぜ方を変えながら3つの段階を通します。

急速撹拌 凝集剤を加え 反発を打ち消す 緩速撹拌 くっつけて フロックに育てる 沈殿池 上澄み(処理水) フロックが沈む

凝集沈殿の流れ。素早く混ぜて反発を打ち消し、ゆっくり混ぜてフロックに育て、沈殿池で沈めて上澄みを取り出す。

1つ目は急速撹拌です。

凝集剤を入れた直後に強く速く混ぜ、薬剤を水全体に行きわたらせて、粒子の電気的な反発を一気に打ち消します。

2つ目は緩速撹拌(フロック形成)です。

今度はゆっくり混ぜて、反発がなくなった小さな粒どうしを穏やかにぶつけ合い、大きなフロックへと育てます。

ここで激しく混ぜると、せっかく育ったフロックが壊れてしまうため、撹拌は急速撹拌のあとは「ゆっくり」に切り替えるのがポイントです。

3つ目は沈殿です。

育って重くなったフロックを沈殿池で沈め、上澄みを処理水として取り出します。

使われる凝集剤の種類

凝集剤は、大きく無機系と高分子系に分けられます。

水処理で広く使われるのは、プラスの電気を持つ金属塩(アルミニウム塩・鉄塩)の無機凝集剤です。

分類 代表的な凝集剤 はたらき
アルミニウム塩 硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC) 粒子の電荷を中和し、水酸化物のフロックをつくる
鉄塩 塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、硫酸第一鉄 アルミニウム塩と同様に電荷中和とフロック形成を行う
高分子凝集剤 ポリアクリルアミド系などの高分子化合物 無機凝集剤でできた小さなフロックを橋かけしてさらに大きく強くする(凝集助剤として併用)

無機凝集剤で電荷を中和して核をつくり、高分子凝集剤でそのフロックを大きく丈夫にする、という組み合わせがよく使われます。

凝集沈殿で除けるもの

凝集沈殿が得意とするのは、自然沈降では沈みにくい汚れです。

水の濁りのもとになるコロイド・微細なSS(浮遊物質)は、フロックに取り込んで沈められます。

さらに、薬剤の選び方しだいでりん(りん酸)も除けます。

アルミニウム塩や鉄塩は、りん酸と結びついて水に溶けにくい塩をつくるため、フロックといっしょに沈めてりんを取り除けます。

このため、凝集沈殿は富栄養化の原因物質であるりんを下げる手段としても使われます。

生物処理(活性汚泥法)との違い

排水処理には、微生物に汚れを食べさせる生物処理(活性汚泥法など)もあります。

凝集沈殿はこれとは仕組みが別で、微生物を使わず、薬剤による物理化学的な作用で汚れを集めて沈めます。

項目 凝集沈殿 活性汚泥法(生物処理)
汚れを除く主役 凝集剤(薬剤) 微生物
主な対象 コロイド・SS・濁り、りんなど 溶けている有機物(BOD成分)
区分 物理化学処理 生物処理

溶けている有機物(BOD成分)は粒子ではないので、凝集沈殿では取りきれません。

そこは生物処理の役割です。実際の排水処理では、両者を組み合わせて使い分けます。

生物処理の中心となる活性汚泥法のしくみは、別記事で扱います。

混同しやすい用語

凝集 と フロック形成

どちらもフロックづくりの工程で出てくる言葉のため混同しがちですが、指している段階が違います。

凝集(電荷の中和)は、凝集剤で粒子の反発をなくして「くっつける状態にする」段階で、強く速く混ぜる急速撹拌で行います。

フロック形成は、その粒どうしを「ぶつけて大きく育てる」段階で、フロックを壊さないようゆっくり混ぜる緩速撹拌で行います。

「反発を消すのが先(急速)、塊に育てるのが後(緩速)」と順番で覚えると取り違えません。

まちがえやすいポイント

凝集とフロック形成は、撹拌の強さと順番を取り違えやすいところです。

凝集(電荷の中和)は急速撹拌で先に、フロック形成(粒を大きく育てる)は緩速撹拌で後に行います。「反発を消すのが先(急速)、塊に育てるのが後(緩速)」と順番で押さえます。

理解度チェック

Q.

細かいコロイド粒子が自然には沈まないのはなぜか。

答え:粒子の表面が同じ符号の電気を帯びて反発し合い、しかも小さくて沈降より水の抵抗が勝つため。

凝集剤で電荷を中和して反発をなくすと、粒子どうしがくっつけてフロックに育ち、沈むようになります。

Q.

凝集沈殿で、フロックを大きく育てる段階の混ぜ方は、急速撹拌と緩速撹拌のどちらか。

答え:緩速撹拌

急速撹拌は凝集剤をなじませて反発を打ち消す段階です。フロックを育てる段階で強く混ぜると塊が壊れるため、ゆっくり混ぜます。

Q.

凝集沈殿に使う代表的な無機凝集剤を1つ挙げよ。

答え:硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄などの金属塩。

いずれもプラスの電気を持ち、粒子の電荷を中和してフロックをつくります。アルミニウム塩・鉄塩はりん酸とも結びつくため、りん除去にも使えます。

まとめ

凝集沈殿は、自然には沈まないコロイドや微粒子を、薬剤の力で沈むように変えてから取り除く処理です。

凝集剤(硫酸アルミニウム・PAC・鉄塩など)で粒子の電荷を中和し、急速撹拌→緩速撹拌でフロックに育て、沈殿池で沈めて分けます。

コロイド・SS・濁りに加え、りんの除去にも使える物理化学処理です。溶けた有機物を狙う生物処理とは役割が分かれます。

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参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験「汚水処理特論」出題範囲(公式PDF)
  • 水質汚濁防止法(e-Gov)/水質汚濁に係る環境基準について(環境省告示)
  • JIS K 0102 工場排水試験方法(SS・濁度などの試験方法)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

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