水に溶けているアンモニアを、どうやって空気で追い出すの?pHは上げる?下げる?で迷いませんか。カギは「pHを上げると、空気へ出ていける形に変わる」ことです。順に整理します。
この記事の要点
アンモニアストリッピング法は、排水中のアンモニアを気体として空気に追い出して除く窒素除去法です。決め手はpHです。
排水に含まれるアンモニア性窒素は、富栄養化などの原因になるため除去が必要です。その方法の1つがアンモニアストリッピング法です。
「ストリッピング」は、水に溶けている成分を気体にして追い出す操作のことです。アンモニアを気体にして空気へ移す、と考えると分かりやすくなります。
水の中では、アンモニアは2つの形で存在し、たがいに釣り合っています(平衡)。
この2つの割合はpHで変わります。pHを上げてアルカリ性にすると、気体になれる遊離アンモニア(NH₃)の割合が増えます。
遊離アンモニアが増えた状態で曝気(空気を吹き込む・空気と接触させる)すると、アンモニアが空気側へ移っていき、水から除かれます。
pHを上げると遊離アンモニア(NH₃)の割合が増え、曝気で空気中へ追い出せる。pHを上げる向きが要点。
効率よく除くためのポイントは、pHと水温です。
pHは、消石灰やカセイソーダなどのアルカリ剤で高く(アルカリ性に)します。なお、消石灰を使うとカルシウムスケール(白い付着物)が生じやすいので、維持管理上の注意が必要です。
また、アンモニアの除去率は水温の影響を受けます。一般に、水温が高いほどアンモニアは気体になりやすく、除去率は上がります。逆に冬季など水温が低いときは除去率が下がりやすくなります。
混同しやすい用語
アンモニウムイオン(NH₄⁺) と 遊離アンモニア(NH₃)
同じアンモニアでも、水中での「形」が違います。割合はpHで決まります。
NH₄⁺(アンモニウムイオン)は電気を帯びて水に溶けたままで、空気へは出ていけません。NH₃(遊離アンモニア)は電気を帯びず、気体になって空気へ出ていけます。
覚え方は「pHを上げる→NH₃(遊離)が増える→曝気で抜ける」。ストリッピングで追い出すのはNH₃のほうです。
アンモニアストリッピング法は、水質有害物質特論で、pHと存在比の向きを中心に問われます。
令和7年度の水質有害物質特論(問7)では、「pHが低くなると遊離アンモニアの存在比が高くなる」とする記述が誤りとして問われました。向きは逆で、pHが高くなると遊離アンモニア(NH₃)の存在比が高くなるのが正しい判断です。
アンモニアストリッピングでは、pHを上げるか下げるか。また、そのとき増えるのはどちらの形か。
答え:pHを上げる(アルカリ性にする)。増えるのは遊離アンモニア(NH₃)
pHを上げると気体になれる遊離アンモニアの割合が増え、曝気で空気中へ追い出せます。
アンモニアの除去率は、水温が高いときと低いときでどちらが上がりやすいか。
答え:水温が高いとき
水温が高いほどアンモニアは気体になりやすく、除去率が上がります。冬季など低水温では下がりやすくなります。
アンモニアストリッピング法は、アンモニアを気体にして空気へ追い出す窒素除去法です。
水中のアンモニアはpHで形が変わり、pHを上げると気体になれる遊離アンモニア(NH₃)が増えます。そこを曝気して空気中へ追い出します。
pHを上げる向き、消石灰使用時のカルシウムスケール、水温が高いほど除去率が上がること、をセットで押さえておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
pHと遊離アンモニアの存在比の向きを逆にした記述が狙われます。
「pHが低くなると遊離アンモニアの存在比が高くなる」とする記述が誤りで、向きは逆。pHが高くなると遊離アンモニア(NH₃)の存在比が高くなります。