令和5年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問8を解説|有害物質処理技術
令和5年度 水質有害物質特論 問8は、いろいろな有害物質の処理技術に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
有害物質の処理では、酸化分解・還元・水酸化物沈殿・共沈・加水分解など、相手の性質に合わせた方法が並びます。引っかけの核心は、水酸化物法で鉛を沈めるときのpHの上げどころです。鉛は両性金属で、pHを上げると一度は水酸化物として沈むものの、上げすぎると今度は溶けだして戻ってしまいます。したがって鉛の最適pHは中程度(おおむね9前後)で、選択肢(2)の「pH11以上」はpHを上げすぎで、かえって再溶解を招く条件になっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 有機塩素系化合物は、過マンガン酸塩を使って酸化分解する方法があります。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 鉛は両性金属で、pHを上げすぎると再溶解します。「pH11以上」とする点が誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | セレン(Ⅳ)はセレン(Ⅵ)より、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理が容易です。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 有機りん排水は、生石灰でpH調整して加水分解し、凝集沈殿・ろ過後に活性汚泥法で処理できます。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 煮詰法は、シアン排水の物理化学的処理方法の一つです。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
多くの重金属はpHを上げると水酸化物になって沈みますが、鉛や亜鉛などの両性金属は少しくせがあります。pHを上げていくと途中で最も溶けにくくなる谷があり、そこを過ぎてさらにpHを上げると、今度は水酸化物が溶けだして再び水中に戻ってしまうのです。鉛の沈殿がいちばん進むのはおおむねpH9前後で、pH11以上まで上げると再溶解して処理水の鉛が増えてしまいます。選択肢(2)は最適pHを高い側に取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 両性金属(鉛・亜鉛など)はpHを上げすぎると再溶解。最適pHは中程度。
- 水酸化物法には最も沈む谷があり、そこを外すと処理水が悪化。
理解度チェック
Q.
鉛を水酸化物法で処理するとき、pHを上げすぎるとどうなる?
鉛は両性金属なので、水酸化物が再溶解して水中に戻ってしまいます。最適pHは中程度(おおむね9前後)です。
Q.
セレンの共沈は、四価と六価のどちらが容易?
四価のセレン(Ⅳ)です。水酸化鉄(Ⅲ)による共沈は、六価より四価のほうが処理しやすくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月