1. HOME
  2. 過去問解説
  3. 水質有害物質特論
  4. 令和5年
  5. > 問10 錯体・キレートによる処理阻害

令和5年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問10を解説|錯体・キレートによる処理阻害

令和5年度 水質有害物質特論 問10は、重金属排水を水酸化物法で処理するとき、重金属と錯体・キレートをつくって処理を妨げる物質を問う正誤問題です。誤っているものを選びます。

この問題のポイント

水酸化物法は、重金属を水酸化物として沈める方法です。ところが、酒石酸・くえん酸・EDTA・アンモニアのように金属をはさみ込んでつかむ配位子が排水にあると、金属が溶けた錯体・キレートのまま残り、水酸化物として沈まなくなって処理が妨げられます。分かれ目は、カルシウムイオン自身は配位子ではなく、重金属をつかむ相手ではないという点です。カルシウムイオンは錯体・キレートをつくらず、水酸化物法の妨げにはなりません。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)酒石酸は金属をつかむ配位子で、錯体をつくり処理を妨げます。正しい記述です。
(2)○(正しい)EDTAは代表的なキレート剤で、金属を溶けたまま保ち処理を妨げます。正しい記述です。
(3)○(正しい)くえん酸も金属と錯体をつくり、水酸化物沈殿を妨げます。正しい記述です。
(4)○(正しい)アンモニアは金属と錯体(アンミン錯体)をつくり、処理を妨げます。正しい記述です。
(5)×(誤り)カルシウムイオンは配位子ではなく錯体・キレートをつくりません。処理阻害物質に挙げる点が誤りです。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

処理を妨げるのは、金属イオンをいくつもの手で抱え込み、水に溶けた安定な錯体として保つ配位子(キレート剤)です。EDTAやくえん酸、酒石酸、アンモニアはこの配位子にあたり、重金属を溶かしたまま逃がすため、水酸化物として沈まなくなります。一方、カルシウムイオンはそれ自身が金属イオンで、重金属をつかむ配位子ではありません。錯体・キレートをつくらないので、水酸化物法の妨げにはならず、処理阻害物質として並べるのは誤りです。

覚え方

  • 処理を妨げるのは金属をつかむ配位子(EDTA・くえん酸・酒石酸・アンモニア)。
  • カルシウムイオンは配位子でない=錯体をつくらず妨げない。

理解度チェック

Q.

水酸化物法で処理を妨げるのはどんな物質?

EDTAやくえん酸のような金属をはさみ込む配位子です。重金属を溶けた錯体のまま保ち、沈殿を妨げます。

Q.

カルシウムイオンが処理阻害物質にならないのはなぜ?

カルシウムイオンは配位子ではなく、重金属と錯体・キレートをつくらないからです。

令和5年 水質有害物質特論 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF