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ろ過式集じん装置(バグフィルター)の仕組み(ろ布・払い落とし方式・ろ過速度)

エコまる

エコまる

バグフィルターって、ろ布でこすだけなのに、どうして細かい粒子まで取れるの?

ろ過式集じん装置は、布の袋(ろ布)に排ガスを通し、ろ布の表面で粒子をこし取る装置です。袋状のろ布を使うものをバグフィルターといいます。

煙突から出る排ガスには、すすや粉じんといった細かい粒子(ダスト)が含まれます。これを大気へ放つ前に取り除くのがバグフィルターの役目です。

集じん装置には重力・遠心力・洗浄・ろ過・電気とさまざまな原理があり、その全体像は集じん装置の種類と違いでまとめています。バグフィルターは、このうちろ過式にあたります。

ばいじん・粉じん特論では、ろ布・払い落とし方式・ろ過速度の3点が繰り返し問われます。順に見ていきます。

ろ過式集じん装置(バグフィルター)とは

バグフィルターは、含じんガスをろ布に通し、ガスは布のすき間を抜け、粒子だけをろ布の表面に残してこし取ります。

細かい粒子まで高い効率でとらえられるのが最大の強みで、広く使われます。

ろ布は織布(糸を織った布)や不織布(フェルト)でつくられ、繊維の長短や表面加工で剥離性・捕集性が変わります。扱うガスの温度や成分に合わせて材質を選びます。

集じんの主役は「一次付着層(ダスト層)」

意外に思われますが、粒子を実際にこし取っているのは、ろ布そのものよりもろ布の表面に積もったダストの層です。これを一次付着層(ダスト層)と呼びます。

運転を始めると、まずろ布にダストが薄く積もり、この層ができると、層自体がフィルターとなって微細な粒子までとらえるようになります。

そのため、ダストを払い落とした直後は集じん率がいったん下がり、層が再びできると回復します。一次付着層がない状態(未使用のろ布やプリコート前)では、粉じんがろ布をすり抜けやすくなります。

払い落とし方式(運転を止める間欠形と止めないパルスジェット形)

ダストが積もり続けると、ろ布が目詰まりしてガスが通りにくくなります。そこで、たまったダストを定期的に落とす払い落としが必要です。

払い落としの方式は、大きく運転を止めて行う間欠形と、運転を止めずに行うパルスジェット形に分かれます。

間欠形には、ろ布を機械的に揺する機械振動形や、逆向きの気流でろ布をつぶして落とす逆気流(逆圧)形があります。これらは払い落とす間そのろ布のろ過を止めるため、止めた分を他の室で補えるよう集じん室を多室に区切るのが一般的です。

パルスジェット形は、ろ布の上部から圧縮空気を瞬間的に吹き込み、ろ布を内側からふくらませて外面のダストをはたき落とします。払い落としが一瞬で済むため、ろ過を止めずに運転を続けられます。運転を止めないので多室化は必須ではなく、ろ過速度も大きくとれます。

払い落としは「止めるか・止めないか」 間欠形 機械振動・逆気流 払い落とす間は ろ過を止める → 多室で交代運転 パルスジェット形 圧縮空気を瞬間噴射 ろ過を止めずに 運転を続けられる → 多室化は必須でない

間欠形は払い落とす室のろ過を止めるため多室で交代運転する。パルスジェット形は運転を止めずに払い落とせるため多室化は必須ではない。

3つの方式を表で並べます。

方式 落とし方 運転を止めるか 向き・特徴
機械振動形 ろ布を揺する 止める(間欠) 振動数が大きすぎると微細ダストの剥離にかえって逆効果
逆気流(逆圧)形 逆向きの気流でつぶす 止める(間欠) 穏やかな払い落とし。剥離性のよいダスト向き
パルスジェット形 圧縮空気を瞬間噴射 止めない(連続) 外面ろ過。多室化は必須でなく、ろ過速度を大きくとれる

パルスジェット形は外面ろ過式で、ダストはろ布の外側に付き、内側から空気を吹いて落とします。「内面ろ過式に用いる」と書かれていれば誤りです。

ろ過速度(気布比)とは

ろ過速度とは、処理するガス量をろ布の有効ろ過面積で割った、ろ布を通る見掛けの速度です。布の面積あたりどれだけのガスを通すかという比なので、気布比とも呼ばれます。

ろ過速度は小さいほど確実にダストを分離できます。ゆっくり通すほど、粒子がろ布や付着層にとらえられやすいからです。

逆にろ過速度を大きくとりすぎると、ダストがろ布に押し込まれて目詰まりしやすく、圧力損失(ガスを通す抵抗)が増え、ろ布も傷みやすくなります。同じ風量なら、ろ過速度を上げれば装置は小さくできますが、性能と寿命は犠牲になります。この兼ね合いが設計の勘どころです。

パルスジェット形は払い落とす力が強いため、ほかの方式よりろ過速度を大きめにとれ、据え付けスペースを小さくできます。

バグフィルターの弱点(温度・結露・酸露点)

ろ布は布でできているため、熱と湿りに弱いのが弱点です。

高温ガスはろ布の常用耐熱温度以下まで冷やしてから入れます。冷やしすぎてもいけません。ガスが露点を下回ると水滴ができ(結露)、ダストが湿ってろ布が目詰まりします。湿りガスを扱うときは、処理ガス温度を露点より十分高く保つのが基本です。

硫黄分を含む燃焼ガスでは、酸露点を下回ると硫酸が結露して低温腐食を起こします。運転温度は「ろ布の耐熱温度以下・酸露点以上」という窓に収めます。

電気集じん装置との違い

微細粒子を高い効率でとらえる装置として、バグフィルターとよく対比されるのが電気集じん装置です。

バグフィルターはろ布でこし取る方式で、ろ布とダスト層の抵抗があるぶん圧力損失は大きめです。一方の電気集じん装置は粒子を帯電させて電極へ集める方式で、ガスの抵抗(圧力損失)が小さく、大量の排ガス処理に向きます。

得意・不得意も逆向きです。バグフィルターはダストの電気的な性質に左右されませんが、電気集じん装置はダストの電気抵抗率が高すぎると逆電離が起きて性能が落ちます。湿りや温度に弱いのはバグフィルター側です。

過去問での問われ方

バグフィルターは、ばいじん・粉じん特論で中心テーマのひとつとして毎年のように問われます。

払い落とし方式では、令和5年度 問9で「パルスジェット形払い落とし方式は内面ろ過式に用いられる」が誤りとされました。パルスジェット形は外面ろ過式です。令和6年度 問7では、パルスジェット式について「集じん室を多室に区切らなければならない」とする義務づけが誤りでした。運転を止めずに払い落とせるため多室化は必須ではありません。

運転管理では、令和7年度 問10で、湿りガスの処理ガス温度を「露点程度に保つ」とする記述が誤りとされました。露点を十分上回る温度に保つのが正解です。令和6年度 問10でも、燃焼ガスを酸露点以上で運転すべき点や、一次付着層をつくるためのプリコートが問われています。

ろ布の材質(令和5年度 問8)や表面加工法(令和5年度 問7)、一次付着層と払い落としの関係(令和6年度 問2)、各装置の圧力損失の大小(令和7年度 問2)も繰り返し出ています。

まちがえやすいポイント

払い落とし方式の取り違えと、温度管理の向きが狙われます。

パルスジェット形は外面ろ過式で、運転を止めずに払い落とせるため多室化は必須ではありません。「内面ろ過式」「多室に区切らなければならない」は引っかけです。また、湿りガスは露点より十分高い温度で運転します(露点程度では結露して目詰まりします)。

理解度チェック

Q.

バグフィルターで実際に粒子をこし取っている主役は、ろ布そのものか、それとも別のものか。

答え:ろ布表面に積もった一次付着層(ダスト層)

この層がフィルターとなって微細粒子をとらえます。払い落とした直後は層が薄くなるため、集じん率はいったん下がります。

Q.

パルスジェット形の払い落としは、内面ろ過式と外面ろ過式のどちらに用い、運転を止める必要はあるか。

答え:外面ろ過式に用い、運転を止める必要はない

圧縮空気を瞬間的に吹き込んで外面のダストを落とすため、ろ過を続けたまま払い落とせます。多室化も必須ではありません。

Q.

ろ過速度(気布比)を大きくとりすぎると、何が起こるか。

答え:目詰まりしやすく、圧力損失が増え、ろ布も傷みやすくなる

ろ過速度は小さいほど確実にダストを分離できます。装置を小さくしたいからと上げすぎると、性能と寿命を損ないます。

まとめ

バグフィルターは、ろ布表面の一次付着層(ダスト層)で微細粒子までこし取る、ろ過式の集じん装置です。

払い落としは運転を止める間欠形(機械振動・逆気流)運転を止めないパルスジェット形(外面ろ過・多室化不要)に分かれ、ろ過速度(気布比)は大きすぎると目詰まり・圧力損失増を招きます。温度・結露・酸露点への弱さもあわせて押さえれば、ばいじん・粉じん特論のバグフィルター問題に強くなります。

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参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論(令和5年 問7〜問9/令和6年 問2・問7・問10/令和7年 問2・問10)・公式正答
  • ろ過式集じんの標準的事項(ろ布での捕集と一次付着層・払い落とし方式・ろ過速度=気布比と圧力損失の関係)
  • JIS Z 8901 試験用粉体/集じん装置の性能(集じん率・圧力損失などの用語)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。