排ガスは高温なのに、なぜ「低温」腐食なの?と不思議に思いませんか。煙が冷える途中で、硫酸が結露して金属を傷めるからです。酸露点とセットで整理します。
この記事の要点
低温腐食とは、排ガスが冷えていく途中で、硫酸が結露して低温部(熱交換器・煙突など)の金属を腐食する現象です。
硫黄を含む燃料を燃やすと、排ガス中に硫黄酸化物(SOx)ができます。このうち、ごく一部のSO₃(三酸化硫黄)が、低温腐食の原因になります。
SO₃は、排ガス中の水分と結びついて硫酸の蒸気になっています。排ガスが高温のうちは蒸気のままですが、煙が冷えていく途中で温度がある点を下回ると、硫酸が結露(凝縮)します。
この硫酸が結露し始める温度が酸露点です。排ガスがこの酸露点より低くなる場所(熱交換器の伝熱面や煙突など、温度の低い低温部)で、結露した硫酸が金属を腐食します。これが低温腐食です。
排ガス中のSO₃が多いほど、酸露点は高くなります(より高い温度で結露し始める)。
排ガスが冷えて酸露点を下回ると硫酸が結露し、低温部の金属を腐食する。表面温度を酸露点より高く保つのが防止の基本。
低温腐食を防ぐ対策には、次のようなものがあります。
低温腐食は、大気特論の燃焼分野で、防止対策として問われます。
令和7年度の大気特論(問7)では、低温腐食の防止対策として「硫黄分の少ない燃料」「ガスの流れを一様にする」「アルカリ粉末の吹き込み」「理論空気量に近い完全燃焼」が正しい記述として並ぶなかで、「熱交換器の表面温度が酸露点を上回らないようにする」とするのが誤りでした。正しくは、表面温度を酸露点より高く(上回るように)保って、硫酸の結露を防ぎます。
混同しやすい用語
表面温度が酸露点より「高い」 と 「低い」
低温腐食を防ぐには、表面温度を酸露点より高くするのか低くするのか、向きを取り違えやすいところです。
表面温度が酸露点より高いと硫酸は結露せず安全、低いと結露して腐食します。だから、表面温度は酸露点より高く保ちます。
「酸露点より高く保つ=結露させない=腐食を防ぐ」とセットで覚えます。
低温腐食は、排ガス中の何が、どうなることで起こるか。
答え:排ガス中のSO₃が水分と結びついて硫酸となり、酸露点以下で結露して低温部の金属を腐食する
SO₃が多いほど酸露点は高くなります。
低温腐食を防ぐには、低温部の表面温度を酸露点より高く保つか、低く保つか。
答え:高く保つ
酸露点より高ければ硫酸が結露せず、腐食を防げます。「酸露点を上回らないように(低く)する」のは誤りです。
低温腐食は、冷える排ガス中の硫酸による腐食です。
排ガス中のSO₃が酸露点以下で硫酸として結露し、低温部の金属を腐食します。防止には、低温部の表面温度を酸露点より高く保ち、硫黄分の少ない燃料を使います。
「酸露点より高く保って結露させない」という向きを、取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
低温部の表面温度を、酸露点より高くするか低くするか、向きが狙われます。
低温部の表面温度は、酸露点より高く保ちます。「酸露点を上回らないようにする(=低く保つ)」は逆で誤りです。硫酸を結露させないために高く保つ、と押さえます。原因はSO₃である点も要注意です。