1,4-ジオキサンを含む排水の処理(なぜ難処理か・促進酸化・分解菌)

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1,4-ジオキサンの排水って、活性炭でも凝集沈殿でも取れないって本当?

1,4-ジオキサンは、無色透明で水に任意に混和する液体です。

溶剤や塩素系溶剤の安定剤などに使われ、化学工場や廃棄物処分場の浸出水から検出されます。

1,4-ジオキサンは水に溶けやすく、揮発も生分解もしにくいため、凝集沈殿・活性炭吸着・活性汚泥といった従来の処理が効きにくい難処理物質です。

なぜ1,4-ジオキサンは難処理なのか

1,4-ジオキサンが取り除きにくいのは、性質に理由があります。

第一に、親水性が高く、水に任意に混和します

水と一体に溶け込むので、凝集沈殿・浮上分離・砂ろ過のような固液分離では分離できません。

第二に、揮発しにくい性質です。

沸点は約101℃で水(100℃)に近く、ヘンリー定数も小さいため、空気を吹き込んで揮発させる揮散法(ばっ気)でも排水から分離するのが困難です。

第三に、生分解されにくい性質です。

好気的な生分解性の試験ではBOD分解率が0%で難分解性と判定されており、活性汚泥法でも除去率は低くとどまります。

活性炭吸着も、他の物質に比べて吸着量が少なく、効率は高くありません。

そもそも有機物の汚れの指標であるBODやCODとしてもほとんど検出されないため、ふつうの有機物のようには扱えません。

1,4-ジオキサンが難処理な理由 1,4-ジオキサン(水に任意に混和) 凝集沈殿・砂ろ過 水に溶けて分離できない 揮散法(ばっ気) 揮発しにくい 活性炭吸着 吸着率が低い 活性汚泥(生物処理) 生分解されにくい

水に溶け込み、揮発も生分解もしにくいため、固液分離・揮散法・活性炭吸着・活性汚泥のいずれも除去効果が小さい。

促進酸化(AOP)でOHラジカルにより分解する

難処理の1,4-ジオキサンを分解する切り札が、強力な酸化作用を使う方法です。

まずオゾンによる酸化には、1,4-ジオキサンを低減する効果が確認されています。

さらに分解力を高めたのが促進酸化処理(AOP)です。

AOPは、オゾン(O3)に過酸化水素(H2O2)や紫外線(UV)を組み合わせて、OHラジカル(ヒドロキシルラジカル)をつくる方法です。

OHラジカルは、フッ素に次ぐほど高い酸化還元電位をもつ非常に強い酸化剤です。

この強い酸化力で、オゾン単独では分解しにくい1,4-ジオキサンも低濃度まで分解できます。

同じく強い酸化作用を使う方法として、過酸化水素と鉄を併用するフェントン法もあり、廃棄物の浸出水で高い除去率が報告されています。

促進酸化(AOP)で分解するしくみ オゾン(O3) 過酸化水素(H2O2) ・紫外線(UV) OHラジカル 強力な酸化剤 1,4-ジオキサン を酸化分解

オゾンに過酸化水素や紫外線を組み合わせてOHラジカルをつくり、その強い酸化力で1,4-ジオキサンを分解する。

分解菌・生物活性炭・逆浸透膜で対応する

酸化以外にも、1,4-ジオキサンを取り除く方法の開発が進んでいます。

1つは分解菌(生物処理)です。

ふつうの活性汚泥では処理困難とされてきましたが、1,4-ジオキサンを分解する微生物(分解菌)を用いた除去技術の開発が進んでいます。

2つ目は生物活性炭です。

活性炭の吸着機能と、活性炭の表面に付着した微生物の分解機能を組み合わせる方法で、廃棄物の浸出水で高い除去率が確認されています。

3つ目は膜分離の一種である逆浸透膜(RO)で、1,4-ジオキサンを物理的にこし取れます。

主な処理法と除去のしやすさを表にまとめます。

処理法 1,4-ジオキサンへの効き方 理由・ポイント
凝集沈殿・砂ろ過・浮上分離 効きにくい 水に任意に混和するため、固液分離では分離できない
揮散法(ばっ気) 効きにくい 揮発しにくい(沸点が水に近い・ヘンリー定数が小さい)
活性炭吸着 効きにくい 他の物質に比べ吸着量が少ない
活性汚泥法 効きにくい 難分解性(BOD分解率0%)で除去率が低い
オゾン酸化・促進酸化(AOP) 効く OHラジカルの強い酸化力で分解。AOPで低濃度まで処理
フェントン法 効く 過酸化水素+鉄で酸化分解。浸出水で高い除去率
分解菌・生物活性炭 効く 1,4-ジオキサン分解菌や付着微生物の分解機能を利用
逆浸透膜(RO) 効く 膜で物理的にこし取る

なお、1,4-ジオキサンは平成21年(2009年)に水質環境基準の健康項目に追加され、基準値は0.05mg/L以下です。

水質有害物質特論での問われ方

1,4-ジオキサンは、水質有害物質特論で「難処理物質」としてくり返し問われます。

令和元年度 水質有害物質特論 問10は、1,4-ジオキサン排水の処理そのものがテーマでした。「凝集沈殿や活性炭吸着では除去が困難」「分解菌を用いた除去技術の開発が進んでいる」「オゾン酸化や促進酸化などの分解法の開発が進んでいる」が正しい記述として並び、性質を「疎水性が高い」とした記述が誤りでした。

令和3年度 問10は性質が中心で、「無色透明の液体で水と任意に混和する」「BODやCODとしてほとんど検出されない」「活性炭による吸着量は少ない」「オゾン酸化・促進酸化・フェントン酸化などの酸化分解法で処理される」が正しい記述、「微生物によって分解されない」が誤りでした。

令和4年度 問1では「1,4-ジオキサンは一般的な凝集沈殿法では除去困難である」が正しい記述として出ています。

令和7年度 問8では、揮散法で排水から分離するのが最も困難なものとして1,4-ジオキサンが問われました。揮発しにくい性質がそのまま答えになっています。

まちがえやすいポイント

性質の「向き」と、生物処理の可否が引っかけです。

1,4-ジオキサンは「疎水性」ではなく「親水性」が高く、水に任意に混和します。また「微生物によって分解されない」も誤りで、分解菌を使えば分解できます。

理解度チェック

Q.

1,4-ジオキサンが凝集沈殿や砂ろ過で除去しにくいのは、どんな性質のためか。

親水性が高く、水に任意に混和するためです。水と一体に溶け込むので、固液分離では分離できません。

Q.

難分解性の1,4-ジオキサンを酸化分解するとき、AOP(促進酸化)がねらうものは何か。

OHラジカル(ヒドロキシルラジカル)です。オゾンに過酸化水素や紫外線を組み合わせてOHラジカルをつくり、その強い酸化力で分解します。

Q.

「1,4-ジオキサンは微生物によって分解されない」は正しいか。

誤りです。ふつうの活性汚泥では困難ですが、1,4-ジオキサン分解菌を用いた除去技術の開発が進んでいます。

まとめ

1,4-ジオキサンは水に任意に混和し、揮発も生分解もしにくいため、凝集沈殿・活性炭吸着・活性汚泥では除去しにくい難処理物質です。

有効なのは、OHラジカルを使う促進酸化(AOP)やフェントン法1,4-ジオキサン分解菌・生物活性炭、そして逆浸透膜です。

「親水性が高い」「分解菌で分解できる」の2点を押さえれば、水質有害物質特論の1,4-ジオキサンの問題に対応できます。

過去問解説 一覧へ

参考

  • 環境省「1,4-ジオキサンの処理技術に関する状況」(親水性が高く沸点も水に近いため物理化学的処理・生物処理で除去困難/オゾン酸化・フェントン法・生物活性炭・逆浸透膜の除去効果)
  • 環境省「1,4-ジオキサンに関する物質情報」(水に任意に混和・好気的生分解性試験のBOD分解率0%で難分解性・水質環境基準0.05mg/L・平成21年環境省告示第78号)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(水質有害物質特論 令和元年問10・令和3年問10・令和4年問1・令和7年問8)・公式正答
  • 促進酸化処理(AOP)の標準的事項(オゾン・過酸化水素・紫外線でOHラジカルを生成し有機物を酸化分解)

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。