汚泥焼却炉の違い(流動焼却炉と階段式ストーカー炉)

エコまる

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流動焼却炉と階段式ストーカー炉って、何がどう違うの?

汚泥焼却炉は、脱水した汚泥を燃やして水分と有機分を飛ばし、容積を大きく減らす装置です。

燃やす前の汚泥は、活性汚泥法などの生物処理で大量に発生します。

発生した汚泥はまず汚泥脱水機で水を絞り、その脱水汚泥を焼却炉で燃やします。

汚水処理特論では、代表的な流動焼却炉階段式ストーカー炉の構造と特徴を取り違える正誤問題が問われます。

流動焼却炉と階段式ストーカー炉は「汚泥の動かし方」が違う

2つの炉の違いは、炉の中で汚泥をどう動かして燃やすかに表れます。

流動焼却炉は縦型の炉で、砂を吹き上げてできた層の中で汚泥を激しく混ぜながら燃やします。

階段式ストーカー炉は段状の火格子の上を汚泥が少しずつ移動しながら燃える炉で、汚泥をかき混ぜる力は弱めです。

汚泥の動かし方で2方式 流動焼却炉 縦型・砂を流動化 階段式ストーカー炉 段状の火格子で送る

流動焼却炉は縦型で砂を吹き上げてよく混ぜる。階段式ストーカー炉は段状の火格子の上を汚泥が移動しながら燃える。

流動焼却炉のしくみ(縦型・砂の流動層)

流動焼却炉は縦型(立形)の炉です。

炉の中に砂などの流動媒体を入れ、下から空気を吹き上げて、砂を沸騰した液のように流動化させます。

この高温の流動層に脱水汚泥を供給すると、砂と激しく混ざり合って水分の蒸発と燃焼分解が一気に進みます。

砂を吹き上げて燃やすこのしくみは、ボイラなどの流動層燃焼と同じ原理です。

炉内に機械的な可動部がないことも特徴で、汚泥と砂がよく混ざるため炉内の温度が均一になりやすく、臭気のもとになる有機物も高温で分解されます。

汚泥は水分が多いため、炉内の温度を保つのに補助燃料を使うことがあります。

階段式ストーカー炉のしくみ(段状の火格子で送る)

階段式ストーカー炉は、火格子(ストーカ)を階段状に組んだ炉です。

火格子の上を汚泥が少しずつ下りながら、乾燥・燃焼していきます。

火格子が動いて汚泥を送る一方で、汚泥をかき混ぜる撹拌作用は弱く、層の内部まで均一に燃やしにくいのが弱点です。

そのため水分の多い高含水率の汚泥は、そのままでは燃えにくく、あらかじめ予備乾燥が必要になります。

2方式の違いと共通点

2つの炉を、炉の形・汚泥の動かし方・弱点で並べます。

項目 流動焼却炉 階段式ストーカー炉
炉の形・向き 縦型(立形) 段状の火格子を組んだ炉
汚泥の動かし方 砂などの流動媒体を空気で吹き上げ、流動層で激しく混合する 階段状の火格子の上を少しずつ移動させる
撹拌(混合) 強い(流動層でよく混ざる) 弱い
機械的可動部 ない ある(火格子が動く)
高含水率汚泥 流動層でよく混ざり対応しやすい 予備乾燥が必要

2方式に共通するのは、ダイオキシン類を出さないための燃焼温度の管理です。

低温で不完全燃焼を起こすとダイオキシン類が残りやすいため、炉内を800〜850℃程度の高温に保ちます。

焼却炉から出る排ガスの処理そのものは、ごみ焼却の排ガス処理でより詳しく問われます。

汚水処理特論での問われ方

2つの炉の構造や特徴を入れ替える正誤問題が定番です。

令和5年度 汚水処理特論 問10では、流動焼却炉を「横型の回転する筒形の炉」と説明する記述が誤りでした。流動焼却炉は縦型で、横型で回転する筒はロータリーキルン(回転炉)の構造です。

令和6年度 汚水処理特論 問10では、流動焼却炉の排ガス中の臭気成分を「熱で分解されにくい」とする記述が誤りでした。臭気のもとは高温の燃焼で分解されます。

令和7年度 汚水処理特論 問9では、階段式ストーカー炉を「撹拌作用が強く予備乾燥なしで高含水率汚泥に対応できる」とする記述が誤りでした。撹拌作用は弱く、予備乾燥が必要です。

まちがえやすいポイント

「縦型か横型か」「撹拌が強いか弱いか」の取り違えが狙われます。

流動焼却炉は縦型で砂を流動化させる炉であり、横型の回転する筒(ロータリーキルン)ではありません。また階段式ストーカー炉は撹拌作用が弱く、高含水率汚泥には予備乾燥が必要です。

理解度チェック

Q.

流動焼却炉の炉は縦型と横型のどちらか。また何を流動化させるか。

縦型の炉で、砂などの流動媒体を空気で流動化させ、その流動層に汚泥を供給して燃やします。横型で回転する筒はロータリーキルンです。

Q.

階段式ストーカー炉で、高含水率の汚泥を燃やすときに必要になるのは何か。

予備乾燥です。撹拌作用が弱く層の内部まで均一に燃やしにくいため、水分の多い汚泥はあらかじめ乾燥させます。

Q.

炉内に機械的な可動部がないのは、流動焼却炉と階段式ストーカー炉のどちらか。

流動焼却炉です。砂の流動層で汚泥を燃やすため機械的可動部がありません。階段式ストーカー炉は火格子が動きます。

まとめ

汚泥焼却炉は、流動焼却炉(縦型・砂の流動層でよく混ぜる)階段式ストーカー炉(段状の火格子で送る・撹拌は弱い)で動かし方が違います。「流動焼却炉=縦型で砂を流動化(横型回転筒ではない)」「階段式ストーカー炉=撹拌が弱く高含水率汚泥は予備乾燥が必要」の2点を押さえれば、汚水処理特論の汚泥焼却の問題はほぼ取りきれます。

参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(汚水処理特論 令和5年問10・令和6年問10・令和7年問9)・公式正答
  • 国立環境研究所 環境展望台「汚泥処理・資源化」(流動床炉・焼却温度の標準的事項)
  • 下水汚泥の流動焼却・ストーカ式焼却の標準的事項(縦型の砂流動層/段状の火格子)

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。