令和2年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問3を解説|ガス吸収の記述
令和2年度 大気有害物質特論 問3は、ガス吸収における物理吸収と化学吸収に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
水にあまり溶けないガスはヘンリーの法則に従って分圧と液中濃度が比例し(物理吸収)、水酸化ナトリウム水溶液のようにガスと反応する液に溶かすと平衡分圧をほぼ0にできます(化学吸収)。分かれ目は、塩素の水への吸収を物理吸収と化学吸収のどちらに分類するかです。塩素は水に溶けやすくはなく、水への吸収は物理吸収として扱われます。塩化水素が選択的に生成する化学吸収と決めつけている記述は、吸収の型を取り違えています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 酸素のように水に溶けにくいガスは、気相の分圧と液中濃度が比例します。ヘンリーの法則を表す正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 塩素の水への吸収を塩化水素が選択的に生成する化学吸収とした点が誤りです。塩素の水への吸収は物理吸収として扱われます。 |
| (3) | ○(正しい) | 一酸化炭素の水への吸収は化学反応を伴わないため物理吸収と呼ばれる、という正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | ふっ化水素を水酸化ナトリウム水溶液に吸収させると反応で消費され、平衡分圧を0とみなせる、という正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 二酸化硫黄の亜硫酸ナトリウム水溶液への吸収では、液組成や温度で決まる一定の分圧を示す、という正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
化学吸収は、水酸化ナトリウム水溶液へのふっ化水素の吸収のように、溶け込んだガスが液中で反応し消費されることで吸収が進む方式で、平衡分圧を非常に低くできます。これに対し塩素は水にそれほど溶けやすくなく、その水への吸収は物理吸収として扱われます。選択肢(2)は、これを塩化水素が選択的に生成する化学吸収と決めつけている点が誤りです。反応で相手を消費して進む化学吸収と、溶解平衡で決まる物理吸収を取り違えないよう、吸収の型で整理します。
覚え方
- 塩素の水への吸収=物理吸収(選択的な化学吸収ではない)。
- 化学吸収=反応で消費され平衡分圧をほぼ0にできる(水酸化ナトリウムへのふっ化水素など)。
- 物理吸収=溶けにくいガスで分圧と液中濃度が比例(ヘンリーの法則)。
理解度チェック
Q.
塩素の水への吸収は、物理吸収と化学吸収のどちらとして扱う?
物理吸収です。塩化水素が選択的に生成する化学吸収ではありません。
Q.
化学吸収でガスの平衡分圧をほぼ0にできるのはなぜ?
溶け込んだガスが液中で反応して消費されるため、気相に戻る分がほとんどなくなるからです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月