令和2年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問4を解説|二重境膜説
令和2年度 大気有害物質特論 問4は、ガス吸収の二重境膜説に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
二重境膜説は、気液の界面の両側に乱れのない薄い境膜があり、物質移動の抵抗はこの2つの境膜に集中すると考えるモデルです。界面そのものでは移動の抵抗が無視でき、両相が平衡(定常状態)にあると仮定します。境膜内では分圧や濃度の差が推進力となり、直線的に変化します。分かれ目は、気液界面を定常状態とみなすか非定常状態とみなすかです。このモデルは界面が定常に保たれると考えるので、界面で常に非定常状態としている記述は仮定を逆にしています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | ガス側と液側の両方に乱れのない薄い境膜が形成される、という二重境膜説の前提どおりの正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 気液界面での物質移動の抵抗は無視できる、というモデルの仮定に沿った正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 気液界面で常に非定常状態で吸収が行われるとした点が誤りです。二重境膜説では界面は定常状態にあると仮定します。 |
| (4) | ○(正しい) | ガス境膜内の拡散の推進力はガス本体と界面の分圧の差である、という正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 液境膜内の濃度は界面から液本体へ直線的に変化する、というモデルどおりの正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
二重境膜説では、界面の両側に薄い境膜を置き、物質移動の抵抗をこの境膜だけに負わせます。界面そのものでは抵抗が無視でき、両相が平衡(定常状態)に保たれると仮定するのが要点です。境膜内の分圧や濃度は時間によらず一定の勾配で直線的に変化するとみなします。選択肢(3)は、この界面を常に非定常状態としている点が誤りです。時間とともに界面の状態が変わり続けるとするのは別の物質移動モデルの考え方で、二重境膜説とは逆の前提になっています。
覚え方
- 二重境膜説の界面=定常状態(平衡)、非定常ではない。
- 物質移動の抵抗はガス側・液側の2つの境膜に集中、界面の抵抗は無視。
- 境膜内の分圧・濃度は直線的に変化、推進力は本体と界面の差。
理解度チェック
Q.
二重境膜説では、気液界面は定常状態と非定常状態のどちらとみなす?
定常状態(平衡)とみなします。界面の物質移動抵抗は無視できると仮定します。
Q.
二重境膜説で物質移動の抵抗が集中するのはどこ?
ガス側と液側の2つの境膜です。境膜内で分圧や濃度が直線的に変化します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月