ふっ化水素は「弱い酸」なのに、なぜガラスも溶かすほど危ないの?と不思議に思いませんか。酸の強さと腐食性は別もの、というところから整理します。
この記事の要点
ふっ化水素(HF)は、扱いに注意が要る物質です。性質と処理の要点を押さえます。
ふっ化水素は、半導体やガラスの加工などに使われる物質で、排ガス・排水処理でも重要です。まず性質から押さえます。
ふっ化水素の水溶液(ふっ化水素酸)は、弱い酸性を示します。それでいて、強い腐食性をもち、ガラスさえ溶かします。
「酸として弱い」ことと「腐食性が強い」ことは別もので、ふっ化水素はその代表例です。弱酸だからと油断できない物質です。
ふっ化水素は、水に非常に溶けやすい(易溶の)ガスです。そのため、水(液)に吸収させて除くのに向いています。
ガスが液に溶けるときには、「ガス側の膜(境膜)」と「液側の膜」の2つの通りにくさ(抵抗)があり、どちらか遅いほうが吸収の速さを決めます(律速)。
ふっ化水素のように非常に溶けやすいガスでは、液にはすぐ溶けるので、ガス側の境膜を通る段階が律速になります。(逆に、溶けにくいガスでは液側が律速になります。)
溶けやすいガス(ふっ化水素)はガス側境膜が律速、溶けにくいガスは液側境膜が律速になる。
ふっ化水素を含む洗浄水などの処理は、水酸化カルシウム(消石灰)による中和が基本です。ふっ素を、難溶性のふっ化カルシウムにして取り除きます。
また、ふっ素系の排ガスに四ふっ化けい素が含まれる場合、これを水で吸収処理すると二酸化けい素が析出して、装置を閉塞させることがあるので、考慮が必要です。
ふっ化水素は、大気有害物質特論で、性質や吸収・処理として問われます。
令和7年度の大気有害物質特論(問5)では、「ふっ化水素水溶液は弱酸性だが強い腐食性」「四ふっ化けい素の吸収処理では二酸化けい素の析出による閉塞を考慮」「水酸化カルシウムで中和」が正しい記述として並ぶなかで、「ふっ化水素の水への吸収では、液側境膜抵抗が吸収速度を支配する」とするのが誤りでした。ふっ化水素は溶けやすいので、律速になるのはガス側の境膜です。
混同しやすい用語
ガス側境膜が律速 と 液側境膜が律速
どちらの膜が律速になるかは、ガスの「溶けやすさ」で決まります。
溶けやすいガス(ふっ化水素など)は液にすぐ溶けるのでガス側が律速、溶けにくいガスは液側が律速です。
「溶けやすい=ガス側律速」「溶けにくい=液側律速」と対応させて覚えます。
ふっ化水素の水溶液は、酸としての強さと腐食性はそれぞれどうか。
答え:酸としては弱い(弱酸性)が、腐食性は強い(ガラスも溶かす)
「酸の強さ」と「腐食性」は別もので、ふっ化水素は弱酸でも腐食性が強い代表例です。
ふっ化水素の水への吸収では、ガス側と液側のどちらの境膜が律速になるか。
答え:ガス側
ふっ化水素は非常に溶けやすいので、液にはすぐ溶け、ガス側を通る段階が律速になります。
ふっ化水素は、弱酸でありながら強い腐食性をもつ、扱いに注意が要る物質です。
水に非常に溶けやすいため、吸収の律速はガス側境膜になります。処理は水酸化カルシウムでの中和が基本で、四ふっ化けい素は二酸化けい素の析出による閉塞に注意します。
「弱酸だが強腐食性」「溶けやすい=ガス側律速」という2点を、取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
ふっ化水素の吸収で、ガス側と液側のどちらが律速かが狙われます。
ふっ化水素は水に非常に溶けやすいので、吸収の律速になるのはガス側境膜です。「液側境膜抵抗が支配する」とあれば誤りです。弱酸性でも強い腐食性をもつ点、四ふっ化けい素の二酸化けい素析出による閉塞もあわせて押さえます。