令和2年度 公害防止管理者 大気特論 問9を解説|石灰スラリー吸収法のスケーリング防止
令和2年度 大気特論 問9は、石灰スラリー吸収法のスケーリング防止策に関する問題です。種結晶・吸収塔内部の構造・反応槽・デミスターなどの記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
石灰スラリー吸収法では、生成した石こう(硫酸カルシウム)が装置の内面に固まって付くスケーリングが起きやすく、これをどう防ぐかがテーマです。防止の基本は、石こうを大きな結晶に育ててから取り出すこと。分かれ目は反応槽の滞留時間です。結晶をしっかり成長させるには滞留時間の長い反応槽が要り、滞留時間が短いと過飽和のままスケーリングしやすくなります。「短い反応槽を設ける」という向きの逆転が引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | あらかじめ石こうの種結晶を加えると結晶が育ちやすく、スケーリング防止に有効で正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | よどみの少ない単純構造にすると付着が起きにくく、正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 表面の滑らかな材料は結晶が付きにくく、防止に有効で正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 結晶を育てるには滞留時間の長い反応槽が必要で、滞留時間の短い反応槽は逆効果です。 |
| (5) | ○(正しい) | デミスターを運転中に定期水洗すると付着を洗い流せ、正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
スケーリングは、石こうが溶けきれずに過飽和のまま装置の壁に析出することで起こります。これを防ぐには、種結晶を核として石こうを大きな結晶に十分成長させてから系外に取り出すのがよく、そのためには反応槽の滞留時間を長くとる必要があります。選択肢(4)は「滞留時間の短い反応槽を設ける」としており、これでは結晶が育つ前に過飽和のままスケーリングしやすくなるため誤りです。「結晶を育てる=滞留時間は長く」と押さえます。
この問題に関連する用語解説
覚え方
- スケーリング=過飽和の石こうが壁に析出
- 防止は結晶を育てる=種結晶+滞留時間の長い反応槽
- 内部は滑らか・よどみなし、デミスターは定期水洗
理解度チェック
Q.
反応槽の滞留時間を長くとるのはなぜ?
石こうを大きな結晶に成長させてから取り出すためです。滞留時間が短いと過飽和のまま壁に析出しやすくなります。
Q.
種結晶を加えると何が良い?
結晶が育つ核になり、石こうが装置の壁ではなく種結晶の上に析出しやすくなるためスケーリングを抑えられます。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月