洗浄集じん装置(スクラバー)の種類(ベンチュリスクラバー・充塡塔・スプレー塔)

エコまる

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スクラバーって何種類もあるけど、ベンチュリ・充塡塔・スプレー塔は何がどう違うの?

洗浄集じん装置(スクラバー)は、排ガスに水(洗浄液)を接触させ、粒子を液滴や液膜に捕まえて取り除く湿式の集じん装置です。

排ガスから粒子を取り除く集じん装置にはいくつもの方式があり、その中で水を使うのがこのスクラバーです。

同じスクラバーでも、水とガスの接触のさせ方でベンチュリスクラバー・充塡塔・スプレー塔などに分かれ、得意な粒子や圧力損失が変わります。

スクラバーのしくみ(水滴・液膜に慣性衝突で捕まえる)

スクラバーが粒子を捕まえる主な仕組みは慣性衝突です。

排ガス中の粒子が、噴霧された水滴や器壁の液膜にぶつかって取り込まれ、水とともに流れ落ちます。

水を使う湿式なので、いったん捕えた粒子が再び舞い上がる再飛散が起きにくく、火花で発火・爆発しやすい粉じんも安全に扱えます。

さらに、ガスを水に溶かし込む作用もあるため、粒子の除去とガス吸収を1台で同時に行えるのも乾式にない強みです。

一方で、捕集に使った水は粒子で汚れるため、スクラバーには排水処理がセットで必要になり、ここが水を使わない乾式(バグフィルターや電気集じん)との大きな違いです。

3つの代表的なスクラバーのしくみ

接触のさせ方で、代表的な3方式を見ていきます。

3種類のスクラバー ベンチュリ スクラバー 絞り部で高速化 微粒子に強い 圧力損失は大 充塡塔 充塡材で 気液接触 ガス吸収向き スプレー塔 噴霧する だけ 低圧損・粗大粒子

左ほど微粒子に強いが圧力損失が大きく、右ほど構造が単純で圧力損失が小さい。充塡塔はガス吸収との同時処理が得意。

ベンチュリスクラバー

管の途中を細く絞ったスロート(絞り部)でガスを毎秒40〜100メートルほどの高速にし、そこへ水を吹き込んで細かい液滴に砕きます。

勢いよくぶつかるので、洗浄集じん装置の中では最も細かい粒子まで高い効率で捕まえられます。

その代わり、ガスを強く絞って高速にする分だけ抵抗が大きく、圧力損失が3方式で最も大きくなります。

充塡塔

塔の中にリング状などの充塡材を詰め、その表面を伝う液膜と、すき間を通るガスを接触させます。

充塡材で気液の接触面積を稼げるため、純粋な集じんより、ガスを水へ溶かし込むガス吸収と組み合わせて使われることが多い方式です。

絞って高速にするわけではないので、圧力損失はベンチュリスクラバーより小さくおさえられます。

スプレー塔

塔の上部のノズルから洗浄液を噴霧し、降ってくる液滴と上ってくるガスを接触させる、もっとも単純なスクラバーです。

構造が簡単で圧力損失が小さい反面、液滴が比較的大きく速度も穏やかなので、細かい粒子は捕まえにくく、粗い粒子向きです。

細かい粒子まで取りたい本処理の前に、粗い粒子を落とす前処理として使われることもあります。

違いを表で比べる

接触のさせ方・得意な粒子・圧力損失の傾向を並べます。

種類 接触のさせ方 得意な粒子 圧力損失
ベンチュリスクラバー 絞り部で高速化し液滴に衝突させる 微細な粒子 大きい
充塡塔 充塡材の表面で気液接触させる 中くらい(ガス吸収向き) 中くらい〜小さい
スプレー塔 上部ノズルから噴霧する 粗大な粒子 小さい

水とガスをどれだけ激しく接触させるかが、得意な粒子と圧力損失の両方を決めます。

なぜベンチュリスクラバーは圧力損失が大きいのか

ベンチュリスクラバーが微粒子に強いのは、スロートでガスを高速にして水を細かく砕き、激しい慣性衝突を起こすからです。

ところが、ガスを細い絞り部に押し込んで高速にすること自体が、ガスの流れに対する大きな抵抗になります。

つまり、微粒子を捕まえる力と圧力損失は同じ「高速化」から生まれる表裏一体の関係で、性能を上げるほど送風機の負担も増えます。

充塡塔とスプレー塔は何が違うのか

どちらも塔の形をしていますが、塔の中に充塡材があるかどうかが違います。

充塡塔は充塡材で気液の接触面積を大きく取れるため、ガスを水に溶かし込むガス吸収に向きます。

スプレー塔は噴霧するだけで構造が単純なので圧力損失は小さい一方、接触が穏やかで細かい粒子は取りこぼしやすくなります。

まちがえやすいポイント

「どのスクラバーも同じくらい細かい粒子を取れる」と思い込むのが落とし穴です。

微粒子に強いのは圧力損失の大きいベンチュリスクラバーで、低圧損のスプレー塔は粗い粒子向きです。得意な粒子と圧力損失をセットで覚えると取り違えません。

過去問での問われ方

洗浄集じん装置は、ばいじん・粉じん特論で各方式の分類や性能を問う形でよく出ます。

令和5年度 ばいじん・粉じん特論 問6では、加圧水式に分類されない装置として流動層スクラバーが問われました。スプレー塔・ベンチュリ・ジェット・サイクロンは加圧した水を噴霧する加圧水式で、流動層スクラバーは貯留水を巻き上げる別方式です。

令和6年度 ばいじん・粉じん特論 問8では、洗浄集じん装置の性能で「基本流速が小さいほど集じん率が高い」とする記述が誤りでした。実際は、ガスと液の相対速度(基本流速)が大きいほど慣性衝突が強まり集じん率は高くなります。

令和7年度 ばいじん・粉じん特論 問8では、充塡層式に当たる装置として流動層スクラバーが正解でした。各装置名と接触のさせ方を結びつけて覚えるのが攻略の近道です。

理解度チェック

Q.

ベンチュリスクラバーが微粒子に強い一方で、圧力損失が大きくなるのはなぜか。

絞り部(スロート)でガスを高速にし、水を細かく砕いて激しく衝突させるためです。その高速化が同時にガスの流れの抵抗になり、圧力損失が大きくなります。

Q.

充塡塔が集じんと同時に得意とする処理は何か。

ガス吸収です。充塡材で気液の接触面積を大きく取れるため、ガスを水へ溶かし込む処理と組み合わせて使われます。

Q.

スプレー塔の圧力損失と、得意な粒子の大きさはどうか。

噴霧するだけの単純な構造なので圧力損失は小さく、接触が穏やかなため粗い粒子向きです。細かい粒子は取りこぼしやすくなります。

まとめ

洗浄集じん装置(スクラバー)は、水の液滴・液膜に粒子を慣性衝突で捕まえる湿式の装置です。

絞り部で高速化するベンチュリスクラバーは微粒子に強いが圧力損失が大きく、充塡塔は充塡材で気液接触させガス吸収に向き、スプレー塔は低圧損だが粗大粒子向き、と接触のさせ方で得意が分かれます。

水を使う分、捕えた粒子で汚れた水の排水処理が必要になる点が、乾式の集じん装置との違いです。

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参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(ばいじん・粉じん特論 令和5年問6・令和6年問8・令和7年問8)・公式正答
  • 一般社団法人 日本粉体工業技術協会 粉体工学用語辞典(ベンチュリースクラバーのスロート流速・捕集粒径・圧力損失)
  • 洗浄集じん(湿式集じん)の標準的事項(液滴・液膜への慣性衝突、加圧水式/貯水式の分類)

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。