令和2年度 公害防止管理者 大気関係技術特論 問17を解説|大気境界層中の煙の拡散
令和2年度 大気関係技術特論 問17は、大気境界層の中での煙の拡散に関する問題です。5つの記述のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
大気の安定度で煙の広がり方が変わります。中立から弱安定では横も鉛直も同程度に広がる円錐状(コーニング)、逆転層のような強安定では鉛直の動きが抑えられ水平に扇形(ファニング)に広がります。海風時の内部境界層では上空の煙が入り込んで拡散幅が増えます。ここでの引っかけは、「風速が大きくなると着地濃度は必ず高くなる」という断定です。風速が上がると煙の上昇高さは下がりますが、同時に希釈も進むため、着地濃度が必ず上がるとは限りません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 中立・弱安定では横と鉛直に同程度、円錐状に広がります(コーニング)。 |
| (2) | ×(誤り) | 風速が大きいと上昇高さは下がりますが希釈も進むため、着地濃度が「必ず」高くなるとは限りません。断定が誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | 逆転層中は鉛直方向の乱流が抑えられ、水平に扇形に広がります(ファニング)。 |
| (4) | ○(正しい) | 海風時の内部境界層に上空の煙が侵入すると、拡散幅が増加します。 |
| (5) | ○(正しい) | 低煙源は小さな起伏でも地形性の滞留を起こしやすく、強安定なときほど地形の影響が強くなります。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
風速が大きくなると、排煙の上昇高さ(プルームライズ)は下がり、着地点が煙源に近づく傾向はあります。しかし同時に、風は煙を強く薄める(希釈する)働きも強めます。この2つは着地濃度に対して逆向きに効くため、着地濃度は上がることも下がることもあり、一義には決まりません。「必ず高くなる」という断定が誤りです。「必ず」「常に」という言い切りは、誤り選択肢のサインになりやすいので注意します。
覚え方
- 安定度と煙型=中立はコーニング/強安定はファニング/不安定はルーピング。
- 「必ず」「常に」の断定は誤り選択肢の合図。
- 風速増=上昇高さ減かつ希釈増。着地濃度は一義に決まらない。
理解度チェック
Q.
逆転層中では煙はどんな形に広がる?
鉛直方向の乱流が抑えられ、水平に扇形(ファニング)に広がります。
Q.
「風速が大きいと着地濃度は必ず高くなる」は正しい?
誤りです。上昇高さは下がりますが希釈も進むため、必ず高くなるとは限りません。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大気関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月