令和6年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問10を解説|有機塩素系排水の処理
令和6年度 水質有害物質特論 問10は、トリクロロエチレン・テトラクロロエチレン排水の処理に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
これらの有機塩素化合物は、揮散させて追い出す方法、活性炭で吸着する方法、酸化や還元で分解する方法で処理します。引っかけの核心は選択肢(1)の酸化分解の生成物です。酸化分解は有機物を徹底的に酸化する処理なので、最終的には二酸化炭素と塩化物イオンまで分解されます。選択肢(1)は生成物を「エチレンと塩化物イオン」としていますが、エチレンは炭素が残った未分解の形で、酸化分解のゴールではありません。ここが誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 酸化分解では二酸化炭素と塩化物イオンまで分解されます。「エチレンと塩化物イオン」とする生成物が誤りです。 |
| (2) | ○(正しい) | 嫌気細菌によるトリクロロエチレンの分解は、塩素原子が一個ずつ外れる還元的脱塩素化です。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 揮散法には充塡塔方式・段塔方式・空気吹込み(曝気)方式などがあります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 揮散法では排ガス処理が望ましく、その方法として吸着法や酸化分解法があります。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 活性炭吸着法では、他の有機物が共存すると吸着量は少なくなります。正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
酸化分解法は、オゾンや紫外線などを使って有機物を徹底的に酸化する処理です。有機塩素化合物なら、炭素は最終的に二酸化炭素まで酸化され、塩素は塩化物イオンとして水中に出ます。一方、選択肢(1)がいう「エチレン」は炭素と水素が残った化合物で、まだ酸化しきっていない状態です。これは酸化分解のゴールではありません。なお、塩素が一個ずつ外れる還元的脱塩素化は選択肢(2)の嫌気細菌の話で、酸化分解とは別の反応です。選択肢(1)は、酸化分解の生成物を還元側の産物と取り違えている点が誤りです。
覚え方
- 酸化分解の終着点=二酸化炭素+塩化物イオン(炭素は燃やしきる)。
- 塩素が一個ずつ外れるのは嫌気細菌の還元的脱塩素化。酸化とは別。
- 揮散法は排ガス処理とセット。活性炭は他の有機物が邪魔をする。
理解度チェック
Q.
酸化分解法で有機塩素化合物は最終的に何になる?
二酸化炭素と塩化物イオンです。炭素は酸化しきられ、塩素は塩化物イオンになります。
Q.
塩素原子が一個ずつ外れる反応はどの処理?
嫌気細菌による還元的脱塩素化です。酸化分解とは別の、還元側の反応です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和6年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月