セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の排水処理の違い(共沈・還元)

エコまる

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同じセレンなのに、ⅣとⅥで処理が違うのはどうして?

セレンは、排水中で酸化数の違う2つの形(セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ))をとり、どちらの形かで処理のしやすさが大きく変わります。

セレン(Ⅳ)は亜セレン酸、セレン(Ⅵ)はセレン酸と呼ばれる形です。

水質有害物質特論では、どちらが除去しやすいか・どの方法が効くかが正誤問題で問われます。

セレンは「酸化数」で2つの形に分かれる

セレンは排水中で、主に2つの形で溶けています。

1つはセレン(Ⅳ)=亜セレン酸(亜セレン酸イオン SeO₃²⁻)、もう1つはセレン(Ⅵ)=セレン酸(セレン酸イオン SeO₄²⁻)です。

セレンは難溶性の塩を作りにくい元素で、ほかの重金属のように水酸化物として沈める単純な方法では除去しにくい物質です。

そのため、形(酸化数)に合わせて処理を選ぶ必要があり、セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)で効く方法が分かれます。

酸化数で処理が変わる セレン(Ⅳ)=亜セレン酸 除去しやすい 水酸化鉄(Ⅲ)で共沈 活性アルミナで吸着 (中性〜弱酸性) セレン(Ⅵ)=セレン酸 除去しにくい 還元してⅣや 金属セレンに変える (金属鉄・微生物)

同じセレンでも、セレン(Ⅳ)は共沈・吸着でそのまま除去でき、セレン(Ⅵ)は還元してから除去する。除去しやすいのはⅣ。

セレン(Ⅳ)(亜セレン酸)は共沈・吸着で除去しやすい

セレン(Ⅳ)は、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈で除去しやすい形です。

共沈は、鉄(Ⅲ)塩を加えてできる水酸化鉄(Ⅲ)のフロックにセレン(Ⅳ)を取り込ませ、一緒に沈めて取り除く方法です。

共沈の除去率はpHの影響が大きく、除去率が高いのは中性〜弱酸性(pH6〜7程度)です。

逆にpH9以上のアルカリ性では、除去率が下がります。

吸着では、活性アルミナがセレン(Ⅳ)に有効です。

共沈剤としては、アルミニウム塩より鉄(Ⅲ)塩のほうが効果が高いとされています。

セレン(Ⅵ)(セレン酸)は還元してから除去する

セレン(Ⅵ)は、共沈や活性アルミナ吸着が効きにくく、そのままでは除去しにくい形です。

そこで、セレン(Ⅵ)を還元して、除去しやすいセレン(Ⅳ)や金属セレン(Se⁰)に変えてから処理します。

還元には、金属鉄を用いる方法があります。

また、嫌気性条件下で微生物を利用して、セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se⁰)に還元する技術も開発されています。

この「いったん還元してから除く」という流れは、六価クロムを還元して三価にしてから沈める処理と同じ考え方です。

なお、セレンがイオンとして存在すれば、セレン(Ⅳ)もセレン(Ⅵ)もイオン交換樹脂で処理できます。

一方で活性炭は、セレンの吸着に効果が認められず、セレン(Ⅳ)・セレン(Ⅵ)のどちらにも効きません。

セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の違い

2つの形の処理の違いを表にまとめます。

項目 セレン(Ⅳ)=亜セレン酸 セレン(Ⅵ)=セレン酸
除去のしやすさ 比較的しやすい しにくい
水酸化鉄(Ⅲ)共沈 有効(最適pHは中性〜弱酸性) 効きにくい
活性アルミナ吸着 有効 効きにくい
主な処理の考え方 そのまま共沈・吸着で除去 還元してⅣや金属セレンに変えてから除去(金属鉄・微生物)
活性炭 セレンには効果が認められない(Ⅳ・Ⅵとも)
イオン交換 イオンとして存在すればⅣ・Ⅵとも処理できる

違いの中心は、そのまま除去できるセレン(Ⅳ)に対し、セレン(Ⅵ)は還元という一手間が要る点です。

水質有害物質特論での問われ方

セレン排水の処理は、水質有害物質特論で誤っている記述を選ぶ正誤問題として、令和元年度から令和6年度まで繰り返し出題されています。

引っかけは大きく3つあります。

1つ目は共沈の最適pHです。令和4年度・令和6年度では、セレン(Ⅳ)の水酸化鉄(Ⅲ)共沈を「アルカリ性で除去率が高い」とする記述が誤りでした。正しくは中性〜弱酸性です。

2つ目は活性アルミナが効く形です。令和2年度・令和3年度では、活性アルミナをセレン(Ⅵ)に有効、あるいはセレン(Ⅳ)に効かないとする記述が誤りでした。活性アルミナが有効なのはセレン(Ⅳ)です。

3つ目は活性炭です。令和3年度では「活性炭は有効」とする記述が誤りでした。令和5年度では、活性炭吸着で最も効果が期待できない排水としてセレン(Ⅵ)排水が問われています。

また令和元年度・令和5年度では「セレン(Ⅳ)はセレン(Ⅵ)より共沈処理が容易」が正しい記述として出ており、除去しやすいのはⅣという向きが繰り返し確認されています。

まちがえやすいポイント

「ⅣとⅥのどちらが除去しやすいか」と「共沈の最適pH」が狙われます。

除去しやすいのはセレン(Ⅳ)で、セレン(Ⅵ)は還元しないと除去しにくいのが軸です。ⅣとⅥを逆に覚えると失点します。また共沈の除去率が高いのは中性〜弱酸性で、アルカリ性ではありません。

理解度チェック

Q.

セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)で、共沈・吸着でそのまま除去しやすいのはどちらか。

答え:セレン(Ⅳ)(亜セレン酸)です。

セレン(Ⅳ)は水酸化鉄(Ⅲ)共沈や活性アルミナで除去できます。セレン(Ⅵ)は還元してⅣや金属セレンに変えてから除去します。

Q.

セレン(Ⅳ)の水酸化鉄(Ⅲ)共沈で除去率が高いのは、中性〜弱酸性とアルカリ性のどちらか。

答え:中性〜弱酸性(pH6〜7程度)です。

pH9以上のアルカリ性では除去率が下がります。アルカリ性で高いとする記述は誤りです。

Q.

セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se⁰)に変えるのは、どのような処理か。

答え:還元です。

金属鉄を用いる方法や、嫌気性条件下で微生物を利用してセレン(Ⅵ)を金属セレンに還元する技術があります。

まとめ

セレン(Ⅳ)(亜セレン酸)は水酸化鉄(Ⅲ)共沈や活性アルミナで除去しやすく、共沈の最適pHは中性〜弱酸性です。セレン(Ⅵ)(セレン酸)は共沈・吸着が効きにくく、金属鉄や微生物で還元してⅣや金属セレンに変えてから除去します。「除去しやすいⅣ・還元が要るⅥ」が軸です。

活性炭はセレンに効かないこと、共沈の最適pHが中性〜弱酸性であることも合わせて押さえれば、水質有害物質特論のセレンの問題は取りきれます。

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参考

  • 水質汚濁防止法(e-Gov)/有害物質に係る排水基準(環境省告示)
  • 水質有害物質特論(一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 公式PDF・出題範囲)
  • セレン排水処理の標準的事項(セレン(Ⅳ)=亜セレン酸の鉄(Ⅲ)塩共沈・活性アルミナ吸着/セレン(Ⅵ)=セレン酸の金属鉄・微生物による還元処理)

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。