令和4年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問2を解説|重金属排水の処理技術
令和4年度 水質有害物質特論 問2は、重金属排水を処理する各技術の特徴に関する問題です。凝集沈殿・共沈・硫化物法・フェライト法などの長所短所を並べた選択肢から、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
重金属排水の処理は、水酸化物として沈める凝集沈殿を軸に、より微量まで落とす共沈、中性域でも使える硫化物法、重金属を結晶に取り込むフェライト法と、目的に応じて技術が用意されています。それぞれ「何が得意か」を押さえるのが要点です。引っかけの核心はフェライト法の位置づけで、この方法は共存する複数の重金属をまとめて結晶に取り込めるのが最大の利点です。選択肢(5)はその利点を否定し、「一括処理できない」と逆に述べている点が誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 重金属排水は一般に酸性で、凝集沈殿するにはアルカリ剤でpHを上げる調整が必要です。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 共沈処理は共沈剤を使わない凝集沈殿より重金属を微量まで落とせる有効な技術です。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | キレート剤があると重金属が溶けたままになるため、濃厚液を分別してキレート剤を薄めることが重要です。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 硫化物法は中性域で処理できる長所がある一方、硫化水素の毒性・臭気・腐食のため適用例は少ないのが実情です。正しい記述です。 |
| (5) | ×(誤り) | フェライト法は共存する各種重金属を結晶に取り込んで一括処理できるのが利点です。「適用できない」とする点が誤りです。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
フェライト法は、鉄(II)イオンを加えて磁性をもつ結晶(マグネタイト系のフェライト)をつくり、その結晶格子の中に共存する重金属を取り込んで沈める方法です。ここで大事なのは、複数の重金属が一緒にいても、それらを一つの結晶に抱き込んでまとめて除ける点で、これこそがフェライト法の最大の利点です。選択肢(5)は「複数の重金属が共存するとマグネタイトは生成しないため、一括処理には適用できない」と述べ、この利点をそっくり逆に否定しています。各種重金属を含む排水を一度にまとめて処理できる方法だ、と押さえておけば取り違えません。
覚え方
- フェライト法は各種重金属を一括で取り込むのが持ち味。
- 共沈は微量まで落とす、硫化物法は中性域で使えるが臭気・腐食で適用例は少ない。
- キレート排水は「薄めて分別」がセオリー。
理解度チェック
複数の重金属が共存する排水に、フェライト法は使える?
使えます。むしろ共存する各種重金属を結晶に取り込んで一括処理できるのがフェライト法の利点です。
硫化物法の適用例が少ないのはなぜ?
硫化水素の毒性・臭気・腐食性という扱いにくさがあるためです。中性域で処理できる長所はあります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月