令和4年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問3を解説|カドミウム・鉛排水の処理
令和4年度 水質有害物質特論 問3は、カドミウムと鉛の排水処理に関する問題です。難溶性塩の種類や再溶解の起こり方を並べた選択肢から、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
カドミウムや鉛は、水酸化物・炭酸塩・硫化物といった難溶性の塩にして沈める処理が基本ですが、条件を外すと一度沈めたものが再び溶け出す「再溶解」が起こります。硫化物法では硫化物イオンが過剰になると再溶解しやすく、鉛のような両性金属はアルカリが強すぎると錯イオンをつくって溶け戻ります。引っかけの核心はこの再溶解で、選択肢(1)は硫化ナトリウムが過剰でも「再溶解は起こらない」と言い切っており、そこが誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 硫化ナトリウムが過剰にあると硫化物イオンが余り、再溶解が起こりうるのが実情です。「再溶解は起こらない」と言い切る点が誤りです。 |
| (2) | ○(正しい) | キレート剤を含む鉛排水で水酸化物法や共沈法が使えない場合、置換法が有効なことが多いです。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | カドミウムの難溶性塩には水酸化カドミウム・炭酸カドミウム・硫化カドミウムなどがあります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 鉛の難溶性塩には炭酸鉛・硫化鉛・硫酸鉛などがあります。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 水酸化鉛はpH8以上のアルカリ性で水酸化錯イオンをつくって再溶解します。両性金属の性質で、正しい記述です。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
硫化物法は、金属を硫化物として沈める処理ですが、沈殿剤の硫化ナトリウムを入れすぎると、水中に硫化物イオンが過剰に残ります。過剰の硫化物イオンは、いったん沈んだ金属硫化物を錯体などの形で再び溶かす方向に働くため、再溶解の問題が起こりえます。選択肢(1)は「硫化ナトリウム過剰存在下でも鉄塩を併用すれば、アルカリ性で再溶解は起こらない」と、この再溶解の可能性を完全に打ち消しています。過剰の沈殿剤は再溶解を招きうる、という向きを踏まえると、「起こらない」と断言する点が誤りだと分かります。
覚え方
- 硫化物法は硫化物イオン過剰で再溶解。入れすぎ注意。
- 鉛は両性金属。アルカリが強いと水酸化錯イオンで溶け戻る。
- カドミウム・鉛とも、難溶性塩は水酸化物・炭酸塩・硫化物が基本形。
理解度チェック
硫化ナトリウムを過剰に加えると、金属硫化物はどうなりやすい?
硫化物イオンが過剰になり、いったん沈んだものが再溶解しやすくなります。
水酸化鉛が強アルカリ性で溶け戻るのはなぜ?
鉛は両性金属で、pH8以上のアルカリ性では水酸化錯イオンをつくって再溶解するためです。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和4年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月