令和3年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問3を解説|フェライト処理
令和3年度 水質有害物質特論 問3は、重金属排水のフェライト処理技術に関する問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
フェライト処理は、鉄(II)イオンを含む溶液にアルカリを加えて加熱し、重金属を鉄酸化物(フェライト)の結晶構造の中に取り込んで固定する方法です。ねらいは各種重金属を一括して安定な結晶に閉じ込めることにあります。引っかけの核心は処理後の安定性で、結晶構造に取り込まれた重金属は溶け出しにくく安定です。選択肢(3)は「溶出しやすい欠点がある」と、フェライト処理の長所である安定性を逆に述べている点が誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | フェライトは鉄を主成分とする固溶体の総称で、スピネル形結晶を持つ磁性体をマグネタイトといいます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 鉄(II)イオンを含む溶液にアルカリを加えて加熱すると、マグネタイトが生成します。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 結晶構造に取り込まれた重金属は溶出しにくく安定です。「溶出しやすい欠点」とする点が誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | フェライト処理は各種重金属の一括処理が可能です。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | EDTAや有機酸などのキレート剤が共存する場合は、前処理として酸化分解処理が必要です。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
フェライト処理の最大の利点は、重金属を結晶格子の中に組み込んで固定するため、生成物が化学的に安定で溶け出しにくいことです。単なる水酸化物沈殿よりも安定性が高く、埋立てなどの後段でも重金属が再び溶出しにくいと評価されます。選択肢(3)は、この長所であるはずの安定性を溶出しやすい欠点とひっくり返している点が誤りです。フェライト処理=安定で溶出しにくい、と長所の向きでおさえます。
覚え方
- フェライトに取り込まれた重金属は安定で溶出しにくい。
- 鉄(II)+アルカリ+加熱でマグネタイト生成/キレート剤共存時は酸化分解を前処理。
理解度チェック
Q.
フェライトの結晶構造に取り込まれた重金属は溶出しやすい?
いいえ。安定で溶出しにくいのがフェライト処理の長所です。
Q.
EDTAなどのキレート剤が共存するとき、フェライト処理の前に必要な処理は?
酸化分解処理です。キレート剤を分解してから処理します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和3年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月