令和元年度 公害防止管理者 騒音・振動特論 問5を解説|塀の遮音効果
令和元年度 騒音・振動特論 問5は、塀の遮音効果に関する記述のうち、最も不適当なものを選ぶ問題です。塀の減音量の見積もり方や実用上の限界についての知識が問われます。
この問題のポイント
塀の遮音は、音が上端を回り込む回折で決まり、実用上の減音量には上限があるという考え方が基本です。ここでの分かれ目は「建物を塀と同じに扱えるか」という点です。建物は塀と違って厚み(奥行き)があり、音は入口側と出口側の2つの縁を回り込むため、行路差が大きくなって薄い塀より遮音効果が高くなります。したがって「建物を同じ高さの塀に置き換えてそのまま計算できる」とした記述が実態と合いません。これが選択肢(5)です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 塀の長さが高さの5倍以上あれば、無限に長いとみなして減音量を計算できます。 |
| (2) | ○(正しい) | 音源・受音点が高い位置にあると地面反射で0〜3 dB程度、効果は悪くなります。 |
| (3) | ○(正しい) | 塀で得られる減音量は実用上25 dB程度が限界と考えられています。 |
| (4) | ○(正しい) | 透過音が回折音を上回らないよう、材料の透過損失は回折減音量より10 dB以上大きくとります。 |
| (5) | ×(誤り) | 建物は厚みがあり薄い塀とは同じでなく、同じ高さの塀に置き換えてそのまま計算できません。 |
選択肢(5)のポイント(ここが誤り)
選択肢(5)は「建物の遮音効果は塀と同じ」「同じ高さの塀に置き換えて計算できる」と述べていますが、ここが実態と合いません。塀は薄い板なので音は上端の1つの縁を回り込みますが、建物は奥行き(厚み)があるため、音は手前側と奥側の2つの縁を回り込みます。その分だけ行路差が大きくなり、回折減音量は薄い塀より大きくなります。つまり建物を同じ高さの薄い塀とみなすと、遮音効果を過小評価してしまいます。両者は等価ではなく、単純な置き換えはできません。
覚え方
- 建物≠薄い塀。建物は縁が2つで行路差が大きく、遮音効果が高い。
- 塀の減音量の実用上限=約25 dB。長さは高さの5倍以上で「無限長」扱い。
- 材料の透過損失は回折減音量より10 dB以上大きく。地面反射で0〜3 dB効果減。
理解度チェック
建物を同じ高さの薄い塀に置き換えて減音量を計算できるか?
できません。建物は厚みがあり、2つの縁で回折するため行路差が大きく、薄い塀より遮音効果が高くなります。等価ではありません。
塀で得られる減音量は実用上どの程度が限界とされるか?
実用上25 dB程度が限界と考えられています。これ以上は透過音などの影響で頭打ちになります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 騒音・振動特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月