令和5年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問9を解説|オクタノール/水分配係数
令和5年度 ダイオキシン類概論 問9は、ダイオキシン類のオクタノール/水の分配係数(Kow)に関する下線部問題です。下線を付した箇所のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
オクタノール/水の分配係数Kowは、その物質が油(オクタノール)と水のどちらになじみやすいかを表す指標で、値が大きいほど疎水性(油になじみやすさ)が強いことを示します。ダイオキシン類のlogKowはおよそ6~8と大きく、脂溶性が高いため、水中では溶けきらずに有機性の懸濁物などへ移りやすいという性質につながります。この問題の核心は、塩素の数とlogKowの関係の向きです。塩素が多いほど分子は疎水性が強くなり、logKowは大きくなる——つまり正の相関です。これを負の相関と逆に書いた箇所が誤りになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | Kowは疎水性を表し、値が大きいほど疎水性が強いという向きは正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | PCDDs・PCDFsのlogKowがおよそ6~8の範囲にある、という水準は正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 置換塩素数とlogKowは正の相関です。負の相関とする点が誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 脂溶性が大きい化合物である、という性質の記述は正しいです。 |
| (5) | ○(正しい) | 水中では有機性懸濁物などへ分配されやすい、という帰結も正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
塩素原子は水になじみにくい性質を持つため、分子に付く塩素が増えるほど、その化合物は水を嫌い油になじむ度合い、すなわち疎水性が強くなります。疎水性が強くなればオクタノール側に多く分配されるので、logKowの値は大きくなります。つまり置換塩素数とlogKowは正の相関で、塩素が増える→logKowが増える、という同じ向きの関係です。選択肢(3)はこれを「負の相関」と逆向きに書いており、増減の方向が現実と食い違う点が誤りです。方向を問う下線部では、原因(塩素数)と結果(logKow)が同じ向きに動くのか逆に動くのかを必ず確かめます。
覚え方
- Kowは大きいほど疎水性(油になじむ)が強い。
- 塩素が増える→疎水性が増す→logKowが増える=正の相関。
- 疎水性が高いから、水中では有機性懸濁物へ移りやすい。
理解度チェック
置換塩素数とlogKowの相関はどちら向き?
正の相関です。塩素が増えるほど疎水性が強まり、logKowの値は大きくなります。
logKowが大きいことは、水中での挙動にどうつながる?
疎水性・脂溶性が高いことを意味し、水にはあまり溶けず、有機性の懸濁物などへ分配されやすくなります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月