令和2年度 公害防止管理者 ダイオキシン類概論 問13を解説|前駆体からの生成反応
令和2年度 ダイオキシン類概論 問13は、前駆体からの有機化学反応によるダイオキシン類の生成に関する正誤問題です。5つの記述のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
前駆体からの生成では、「どの前駆体が」「どの反応で」「何になるか」の対応関係が問われます。核心は、クロロベンゼン類がカップリング反応で結びついたときの生成物です。カップリング反応は2つの芳香環を直接つなぐ反応なので、ベンゼン環1個どうしのクロロベンゼンがつながると、ベンゼン環2個が直結したビフェニル骨格=PCBsになります。酸素を介して橋かけされたPCDDsにはなりません。選択肢(4)はこれをPCDDsが生成するとしており、生成物の取り違えが誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 母体の炭化水素に塩素ガスや塩化りんなどの塩素化試剤が反応してダイオキシン類が生成する、という点は正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 縮合反応によってクロロフェノール類からダイオキシン類(PCDD)が生成する点は正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 酸化反応によってPCBsからPCDFsが生成する点は正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | クロロベンゼン類がカップリング反応で生成するのはPCBsです。「PCDDsが生成する」とする点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 遷移金属酸化物が促進効果を示し、特に酸化銅(Ⅱ)が高い促進効果を示す点は正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
カップリング反応は、2つの芳香環を直接つなぐ反応です。ベンゼン環を1個もつクロロベンゼンどうしがこの反応で結合すると、ベンゼン環2個が直につながったビフェニル骨格=PCBsができます。一方のPCDDは、環と環のあいだに酸素が2個入って橋かけされた構造で、クロロフェノール類の縮合(酸素を介した結合)から生まれます。つまり、クロロベンゼン類のカップリングで得られるのはPCBsであり、選択肢(4)がPCDDsとするのは生成物を取り違えています。前駆体と反応の型が決まれば、環どうしが直結する(PCB)か酸素で橋かけされる(PCDD)かで生成物を見分けられます。
覚え方
- クロロベンゼンのカップリングはPCB(環が直結)。PCDDではない。
- クロロフェノールの縮合はPCDD(酸素で橋かけ)。PCBの酸化はPCDF。
- 生成促進の触媒は遷移金属酸化物、とくに酸化銅(Ⅱ)。
理解度チェック
クロロベンゼン類のカップリング反応で生成するのは?
PCBsです。ベンゼン環どうしが直結してビフェニル骨格になります。PCDDsではありません。
PCDDはどの前駆体・反応から生成する?
クロロフェノール類の縮合反応です。環と環が酸素を介して橋かけされます。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類概論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月