ごみを高温で燃やせばダイオキシンは出ないはずなのに、なぜ対策が必要なの?と思いませんか。実は、燃やした「後」の冷える途中で、もう一度できてしまうのです。生成と抑制を整理します。
この記事の要点
ダイオキシン類は、ごみ焼却などの燃焼にともなって非意図的に生成します。やっかいなのは、燃やした後の冷える途中でも新たにできてしまうことです。
ダイオキシン類は、狙って作る物質ではなく、ものを燃やす過程などで非意図的に生成します。とくに、塩素を含むごみの焼却が代表的な発生源です。
ダイオキシン類の生成には、いくつかの条件がそろう必要があります。
まず、塩素源(塩化物や有機塩素化合物)が必要です。塩素源があるところで、酸素(空気)による燃焼が起こると生成します。
そして、燃焼温度と排ガスの滞留時間が、生成量を大きく左右します。温度の条件が、生成のしやすさを決める重要な要素です。
ここが対策のいちばんのポイントです。ダイオキシン類は、燃焼が終わった後の、排ガスが冷えていく途中でも生成します。
デノボ合成(再合成)とは、燃焼後の排ガスが約300℃付近の低温域を通るときに、未燃の炭素・塩素・金属(銅など)から、ダイオキシン類が新たに合成される現象です。
つまり、高温の炉でいったん分解されても、冷える途中の300℃付近をゆっくり通ると、そこでまた生成してしまうのです。
約300℃付近が再合成ゾーン。急冷で素早く通過すれば再合成は少なく、徐冷で長く通ると再合成が増える。
生成のしくみが分かると、抑え方も見えてきます。柱は2つです。
1つ目は、高温での完全燃焼です。十分な高温・酸素・滞留時間で燃やしきり、ダイオキシン類を分解するとともに、再合成のもとになる未燃分(すす・未燃炭素)を残さないようにします。
2つ目は、排ガスの急冷です。再合成が起こる約300℃付近の温度域を素早く通り抜けるよう、排ガスを急冷します。逆に、ゆっくり冷やす(徐冷)と再合成ゾーンを長く通ってしまい、かえって生成が増えます。
さらに、バグフィルターでの集じんや活性炭への吸着で、生成したダイオキシン類を排ガスから除去します。
生成と抑制は、ダイオキシン類概論で、燃焼過程・非燃焼過程の生成要因として問われます。
令和7年度のダイオキシン類概論(問12)では、「塩素源存在下での酸素による燃焼が必要」「燃焼温度と排ガスの滞留時間が生成量を大きく左右する」が正しい記述として並びました。問13では、燃焼を経ない過程での生成(農薬製造やパルプの塩素漂白など)や、デノボ合成という用語も登場します。
混同しやすい用語
高温(分解) と 急冷(再合成を避ける)
どちらも温度の話なので、ねらいを取り違えやすいところです。
高温(完全燃焼)は、炉の中でダイオキシン類を「分解する」ためのもの。急冷は、燃焼後の300℃付近で「再びできるのを防ぐ」ためのものです。
「炉の中は高温でしっかり燃やす」「出た後は急いで冷やす」と、場所と目的をセットにすると整理できます。
デノボ合成とは、どのような現象か。
答え:燃焼後の排ガスが約300℃付近の低温域を通るときに、未燃の炭素・塩素・金属からダイオキシン類が新たに合成される現象
高温の炉で分解されても、冷える途中の300℃付近でまた生成してしまうのが特徴です。
燃焼後の排ガスは、急冷と徐冷のどちらが望ましいか。理由とともに。
答え:急冷。約300℃付近の再合成ゾーンを素早く通り抜け、デノボ合成(再合成)を抑えられるため
徐冷だと再合成ゾーンを長く通り、ダイオキシン類が増えてしまいます。
ダイオキシン類は、塩素源と酸素のもとで燃焼にともない生成し、さらに燃焼後の低温域でも再合成されます。
約300℃付近でデノボ合成(再合成)が起こるため、高温での完全燃焼で分解し、排ガスを急冷して再合成ゾーンを素早く通過させるのが抑制のカギです。
「炉の中は高温、出たら急冷」と、温度の使い分けをセットで覚えておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
「高温で燃やせば終わり」と思い込むと、燃焼後の再合成を見落とします。
排ガスは急冷します。ゆっくり冷やす(徐冷)と、約300℃付近の再合成ゾーンを長く通り、かえってダイオキシン類が増えます。高温完全燃焼で分解、急冷で再合成抑制、という2本柱で押さえます。