1. HOME
  2. 過去問解説
  3. ダイオキシン類特論
  4. 令和7年
  5. > 問14 4-クロロフタル酸製造プロセスの排水

令和7年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問14を解説|4-クロロフタル酸製造プロセスの排水

令和7年度 ダイオキシン類特論 問14は、4-クロロフタル酸水素ナトリウムの製造プロセスと、その工程排水に含まれるダイオキシン類に関する下線部問題です。下線を付した箇所のうち誤っているものを選びます。

この問題のポイント

この製造プロセスでは、無水フタル酸を水酸化ナトリウムでフタル酸ジナトリウムに変え、塩素(Cl2)を吹き込んで塩素化するという流れが問われています。塩素と芳香環を高温で扱う工程は、副生成物としてダイオキシン類を生じやすいのが着眼点です。引っかけの核心は、反応や後処理の手順ではなく、工程排水で毒性等量(TEQ)に大きく寄与する異性体群がどちらかという最後の一文にあります。塩素化を伴うこの種のプロセスではPCDD(ジオキシン)系よりもPCDF(フラン)系の寄与が大きいと報告されており、PCDDが非常に高いとする下線部が誤りです。

※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。

正解:選択肢(5)(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
(1)○(正しい)無水フタル酸を水酸化ナトリウムと反応させフタル酸ジナトリウムとする点は正しい記述です。
(2)○(正しい)塩素を吹き込んで塩素化し、4-クロロフタル酸水素ナトリウムを得る点は正しい記述です。
(3)○(正しい)熟成・塩析を経てろ過・乾燥する後処理の流れは正しい記述です。
(4)○(正しい)工程排水のうちろ過施設排水で最大濃度が検出されたとする点は正しい記述です。
(5)×(誤り)TEQに占める割合が高いのはPCDF系であり、「PCDD異性体が非常に高い」とする点が誤りです。

選択肢(5)のポイント(ここが誤り)

ダイオキシン類は、酸素を2個もつPCDD(ポリクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン)系と、酸素が1個のPCDF(ポリクロロジベンゾフラン)系に大別されます。どちらが多く生じるかは原料や反応の型で変わり、毒性等量(TEQ)への寄与も変わってきます。塩素化した芳香族化合物を扱うこの製造プロセスの工程排水では、PCDF系がTEQの大部分を占めると調査で報告されています。下線部は、この寄与の大きい異性体群をPCDD系だと取り違えている点が誤りです。反応式や後処理の手順そのものは正しく書かれているため、目が向きやすい前半ではなく、排水の異性体組成を述べた最後の一文が引っかけの本命です。

覚え方

  • 塩素化を伴う化学プロセスの排水はPCDF(フラン)系がTEQ寄与の主役になりやすい。
  • 下線部問題は「反応の手順」より「最後の一文(異性体・濃度の比較)」を疑う。
  • PCDD=酸素2個、PCDF=酸素1個。名前と寄与の大小をセットで押さえる。

理解度チェック

Q.

塩素化を伴う化学製品プロセスの工程排水で、TEQへの寄与が大きい異性体群は?

PCDF(フラン)系です。PCDD系よりもPCDF系の寄与が大きいと報告されています。

Q.

PCDDとPCDFの構造上の違いは?

2つのベンゼン環をつなぐ酸素が、PCDDは2個、PCDFは1個です。

令和7年 ダイオキシン類特論 過去問解説 一覧へ

出典

  • 一般社団法人 産業環境管理協会「令和7年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF