令和6年度 公害防止管理者 ダイオキシン類特論 問21を解説|ダイオキシン類の同定
令和6年度 ダイオキシン類特論 問21は、イオン強度比によるダイオキシン類の同定に関する下線部問題です。下線を付した箇所のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ダイオキシン類の同定では、モニターした二つ以上のイオンのピーク面積の比が、理論から推定されるイオン強度比とほぼ一致するかを確かめます。この理論値の根拠は、分子に含まれる塩素原子の同位体存在比(35Clと37Clの比)です。塩素を多くもつダイオキシン類は、この同位体パターンが特徴的な強度比を生みます。分かれ目は、この同位体存在比を炭素原子由来とすり替えている点で、塩素とすべきところを取り違えているのが誤りです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 二つ以上のイオンのピーク面積の比を標準物質と比べる点は正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | イオン強度比の根拠は塩素原子の同位体存在比です。「炭素原子」とする点が誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | 強度比が理論値に対して±15%以内にあることを求める点は正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | 検出下限の3倍以下の低濃度では±25%まで許容する点は正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | これらの条件を満たすときダイオキシン類によるピークと判断する点は正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
ダイオキシン類は分子中に複数の塩素をもち、塩素には質量の異なる同位体(35Clと37Cl、およそ3対1)が存在します。この塩素の同位体存在比によって、同位体で構成の違うイオン(クラスターイオン)の強度比が決まり、その比が理論値どおりであることが同定の根拠になります。下線部はこの根拠を炭素原子の同位体存在比としていますが、炭素の同位体(13C)は存在比がごくわずかで、塩素化合物であるダイオキシン類のイオン強度比を支配するのは塩素です。「炭素」を「塩素」と取り違えている点が誤りです。
覚え方
- イオン強度比の根拠は塩素の同位体存在比(35Cl:37Cl)。
- 許容は理論値に対し±15%(低濃度では±25%)。
- 塩素化合物の同定=塩素の同位体パターンで見る。炭素ではない。
理解度チェック
ダイオキシン類のイオン強度比を決めるのは何の同位体?
塩素の同位体(35Clと37Cl)です。この存在比が理論値の根拠になります。
通常のイオン強度比の許容範囲は?
理論値に対して±15%以内です。検出下限の3倍以下の低濃度では±25%まで許容します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和6年度 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月