令和2年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問8を解説|重油燃焼とSO3
令和2年度 大規模大気特論 問8は、重油焚き火力発電で生じるSO3(三酸化硫黄)に関する問題です。選択肢のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
燃料中の硫黄はまずSO2になり、その一部がSO3へ酸化されます。SO3は排ガス中の水分と結びついて硫酸ミストになりやすく、これが低温腐食・紫煙(紫がかった煙)・アシッドスマット(酸性の煤の塊)といった、さまざまなトラブルの引き金になります。分かれ目は、SO3がアシッドスマットの形成に「影響しない」と書かれているかどうかです。硫酸ミストはアシッドスマットの主因の一つなので、影響しないという記述が誤りになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 温度が低い領域でSO3が硫酸ミストとなり、機器の低温腐食の原因になります。正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | SO3由来の硫酸ミストはアシッドスマットの形成に関与します。「影響しない」は誤りです。 |
| (3) | ○(正しい) | SO3から生じる硫酸ミストは、煙突からの紫煙の原因になります。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | アンモニアガスを注入して硫酸アンモニウムに固形化し集じんする方法は、有効な対策です。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | SO2からSO3への転化率は、脱硝装置の触媒の酸化作用によって高くなる傾向があります。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
選択肢(2)は、SO3がアシッドスマットの形成には影響しないとしていますが、これが誤りです。アシッドスマットは、ばいじんに硫酸分がしみ込んでできる酸性の煤の塊で、煙突から落下すると洗濯物や車体を傷めるなどの被害を起こします。その硫酸分の供給源こそSO3から生じる硫酸ミストであり、SO3はアシッドスマットの形成に深く関与します。SO3は低温腐食((1))や紫煙((3))だけでなくアシッドスマットの原因にもなるため、「影響しない」という記述は成り立ちません。ほかの(1)(3)(4)(5)はいずれも正しい記述です。
覚え方
- SO3+水分→硫酸ミスト。低温腐食・紫煙・アシッドスマットの共通の原因。
- アシッドスマット=硫酸がしみ込んだ煤の塊。SO3は「影響しない」ではなく主因の一つ。
- 脱硝触媒の酸化作用でSO2→SO3の転化率が上がる点にも注意。
理解度チェック
SO3が引き起こす代表的なトラブルを挙げると?
SO3は水分と結びついて硫酸ミストとなり、低温腐食・紫煙・アシッドスマットの原因になります。いずれも硫酸ミストが共通の引き金です。
脱硝装置を設けるとSO2からSO3への転化率はどうなるか?
高くなる傾向があります。脱硝触媒には酸化作用があり、SO2の一部をSO3へ酸化してしまうため、後段での硫酸ミスト対策がより重要になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月