排煙脱硝の違い(アンモニア接触還元法SCRと無触媒脱硝法SNCR)

エコまる

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脱硝のSCRとSNCR、触媒があるかないかだけの違いなの?

排煙脱硝には、アンモニア接触還元法(SCR)無触媒脱硝法(SNCR)の2つの方式があります。

どちらもアンモニアなどを還元剤にして、排ガス中のNOxを無害な窒素(N₂)と水に変えて取り除きます。

分かれ目は触媒を使うか・反応する温度域・除去率です。違いを順に押さえます。

SCRとSNCRとは(触媒のあるなしで分かれる)

アンモニア接触還元法(SCR)は、排ガスにアンモニア(NH₃)を吹き込み、触媒の上でNOxを窒素と水に還元する方式です。

触媒があるおかげで、比較的低めの温度でも反応が進みます。気体のまま処理する乾式の技術です。

NOxそのものがどこから生まれるか(サーマルNOx・フューエルNOx)は燃焼側の話で、SCRは生まれたあとのNOxを排ガスから取り除きます。

無触媒脱硝法(SNCR)は、触媒を使わず、炉内や煙道の高温部にアンモニアや尿素を噴霧してNOxを還元する方式です。

触媒がない分、反応には高い温度が要ります。設備が簡単で安価な反面、除去率は低めにとどまります。

硫黄酸化物(SOx)を除く排煙脱硫と並べて、排ガス処理の組合せとして使われます。

排煙脱硝の2つの還元方式 アンモニア接触還元法 (SCR) 触媒を使う 低めの温度域 除去率が高い 無触媒脱硝法 (SNCR) 触媒を使わない 炉内の高温域 除去率は低め どちらもNOxを 窒素(N₂)と水 に還元して取り除く

同じ排煙脱硝でも、SCRは触媒を使って低めの温度で、SNCRは触媒なしで炉内の高温域で還元する。触媒のあるなしが出発点。

なぜ反応する温度域が違うのか

触媒には、反応を進みやすくする働きがあります。

SCRは触媒の表面で反応するため、おおむね300〜400℃(350℃前後)という低めの温度域でNOxを還元できます。触媒の主成分は二酸化チタン(TiO₂)で、活性成分として酸化バナジウム(V)やタングステン(W)が加えられています。

一方のSNCRは触媒の助けがないため、反応を進めるには約850〜1000℃の高温が要ります。

この温度域はシビアです。これより低いと反応が進まず、これより高いとアンモニアが酸化されてかえってNOxを作る側に回り、どちらでも脱硝率が落ちます。

だからSNCRは、炉内のちょうどよい温度の場所をねらって還元剤を噴霧します。

SCRとSNCRの違い

2つの方式の違いを表にまとめます。

項目 アンモニア接触還元法(SCR) 無触媒脱硝法(SNCR)
触媒 使う(TiO₂に酸化バナジウム系) 使わない
反応温度 低め(約300〜400℃・350℃前後) 高温(約850〜1000℃
還元剤 アンモニア(NH₃) アンモニアや尿素
入れる場所 ボイラ後流の触媒層(脱硝塔) 炉内・煙道の高温部
脱硝率(除去率) 高い(微粉炭焚き火力で80〜90% 低め(40%程度
主な課題 触媒のSOx被毒/未反応アンモニアのリーク 温度域がシビア/除去率が低い

除去率の高さで選ぶならSCR、設備の簡単さと安さで選ぶならSNCR、という位置づけです。

大気特論での問われ方

排煙脱硝は、大気特論で方式の特徴を入れ替える正誤問題として問われます。

令和7年度 大気特論 問11では、アンモニア接触還元法を「湿式脱硝技術」とする記述が誤りでした。SCRは気体のアンモニアを固体触媒の表面で反応させる乾式で、我が国で最も採用実績が多い方式です。同じ問題で、NOとアンモニアが1:1のモル比で反応すること、無触媒還元法では還元剤に尿素も使えること、活性炭法が脱硫と脱硝を同時に行えることも、正しい記述として並びました。

令和6年度 大気特論 問11では、触媒の被毒が論点でした。白金系触媒が酸化バナジウム系よりSOx被毒に強いとする記述が誤りで、実際は逆です。硫黄分を含む燃焼排ガスでは、酸化バナジウム系のほうが被毒に強く安定して使えます。

同じ問11では、未反応のアンモニアが約250℃以下でSO₃と反応し、酸性硫安となって装置を詰まらせる点も正しい記述でした。低い温度でガス処理を続けると起きる低温腐食と同じく、温度の下がりすぎが装置トラブルにつながります。

まちがえやすいポイント

方式の分類と、触媒の被毒の向きが狙われます。

アンモニア接触還元法(SCR)は乾式で、湿式と取り違えるのが定番の引っかけです。またSOx被毒に強いのは酸化バナジウム系の触媒で、白金系のほうが被毒しやすいのを逆に覚えないように注意します。

理解度チェック

Q.

SCRとSNCRの一番大きな違いは何か。

触媒を使うかどうかです。SCR(アンモニア接触還元法)は触媒の上でNOxを還元し、SNCR(無触媒脱硝法)は触媒を使わず炉内の高温域で還元します。

Q.

SCRとSNCRで、反応に高い温度が要るのはどちらか。

SNCRです。触媒がない分、約850〜1000℃の高温が必要です。SCRは触媒のおかげで約350℃前後の低めの温度で反応します。

Q.

アンモニア接触還元法(SCR)は、乾式と湿式のどちらか。

乾式です。気体のアンモニアを固体触媒の表面で反応させ、吸収液は使いません。湿式とするのは誤りです。

Q.

脱硝率(除去率)が高いのはどちらか。

SCRです。微粉炭焚き火力発電所で80〜90%に達します。SNCRは40%程度と低めにとどまります。

まとめ

排煙脱硝のSCRとSNCRは、どちらもアンモニアなどでNOxを窒素と水に還元する点は同じです。

SCR(アンモニア接触還元法)は触媒を使い、約350℃前後の低めの温度で除去率が高い乾式。SNCR(無触媒脱硝法)は触媒を使わず、炉内の高温域で安価に処理できるが除去率は低め、と押さえます。

「触媒のあるなし」「温度域」「除去率」の3点でセットにすると、方式を取り違えません。

排煙脱硫と排煙脱硝の違いも見る

参考

  • 国立環境研究所 環境展望台「排煙脱硝技術」(選択接触還元法 反応温度350℃前後・脱硝率80〜90%/無触媒選択還元法 850〜1000℃・脱硝率40%程度)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(大気特論 令和7年問11・令和6年問11)・公式正答
  • JIS による排ガス中の窒素酸化物の試験/脱硝技術の標準的事項

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。