令和2年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問6を解説|大気拡散シミュレーションモデル
令和2年度 大規模大気特論 問6は、大気環境濃度の予測に用いるシミュレーションモデルに関する問題です。選択肢のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
大気濃度の予測モデルには、条件を単純化して式で解ける正規形プルーム拡散式のような解析解モデルと、空間を格子に区切ってコンピューターで近似計算する数値解モデルがあります。分かれ目は、光化学大気汚染のように汚染物質どうしの化学反応が絡む現象を、式で解ける(解析的に解ける)と書いているか、それとも数値計算で解くと正しく書いているか、という点です。化学反応は非線形で式には解けないため、数値解モデルで扱います。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 平坦地の高煙突からの着地濃度は、一般的な正規形プルーム拡散式で計算できます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 地球規模のシミュレーションでは、気流や気温などの気象パラメータの推定が重要になります。正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 光化学大気汚染は化学反応と移流拡散が絡み、解析的には解けません。数値解モデルで計算するのが正しく、「解析的に解く」が誤りです。 |
| (4) | ○(正しい) | 高密度ガスの大量放出は地面を這って広がるため、通常の正規形プルームモデルは用いることができません。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 複雑地形上の拡散予測には、格子モデルなどの数値解モデルの応用例があります。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
選択肢(3)は、光化学大気汚染のシミュレーションで、汚染物質間の化学反応と移流拡散についての微分方程式を解析的に解く方法が用いられるとしていますが、ここが誤りです。光化学反応は複数の物質が互いに反応し合う非線形の過程で、正規形プルーム拡散式のように式の形で解くこと(解析解)はできません。実際には、空間を格子に区切って化学反応と移流拡散を時間を追って計算する数値解モデルが使われます。式で解ける解析解モデルと、計算機で近似計算する数値解モデルの区別を入れ替えたのがこの選択肢の引っかけです。ほかの(1)(2)(4)(5)はいずれも正しい記述です。
覚え方
- 式で解ける=解析解モデル(正規形プルームなど)。単純化した拡散向き。
- 化学反応を含む光化学汚染・複雑地形=数値解モデル(格子+計算機)。
- 「化学反応を解析的に解く」は取り違えの定番。反応が絡めば数値解。
理解度チェック
光化学大気汚染のシミュレーションで用いられるのは、解析解と数値解のどちらか?
数値解モデルです。汚染物質どうしの化学反応は非線形で式には解けないため、空間を格子に区切って計算機で解きます。解析的に解く(式の形で解く)方法は使えません。
高密度ガスの大量放出に、通常の正規形プルームモデルを使えないのはなぜか?
高密度ガスは空気より重く地面を這って広がるため、通常の拡散幅を前提とした正規形プルームモデルでは挙動を表せないからです。専用の重ガス拡散モデルが必要になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月