令和2年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問4を解説|正規分布と拡散幅
令和2年度 大規模大気特論 問4は、煙流の濃度分布の形状に関する問題です。風向xに直交するy軸上の濃度分布について、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
固定点源から出た煙流を、流れの方向xに直交するy軸で切ると、中心が最も濃く両側になだらかに薄くなる釣鐘型の濃度分布になります。これが正規分布(ガウス分布)で、その広がりを表す拡散幅σy は数学でいう標準偏差にあたります。ここで押さえる分かれ目は、拡散幅σy が風下距離xとともにどう変わるかです。煙は下流へ流れるほど左右に広がるので、σy はxが大きくなるほど増大します。距離によらず一定だとする記述が誤りになります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 中心濃度C0に、拡散幅σy を用いた指数関数を掛けた釣鐘型の式で、正規分布の形を正しく表しています。 |
| (2) | ○(正しい) | この釣鐘型の分布は正規分布(ガウス分布)と呼ばれます。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 拡散幅σy は、正規分布の広がりを表す標準偏差にあたります。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 拡散幅σy は距離xとともに増大します。距離によらず一定とするのは誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | y=σy の位置(点A)の高さは中心濃度の約0.61倍(exp(−1/2)≒0.61)で、正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
選択肢(4)は、拡散幅σy が点源からの距離xの大きさにかかわらず一定であると述べていますが、これが誤りです。煙は風下へ流れるあいだも乱流で左右に混ざり続けるため、下流へ行くほど分布の裾が広がり、σy は距離xが大きくなるほど増大します。正規分布の式の形((1))や、それを正規分布と呼ぶこと((2))、σy が標準偏差にあたること((3))、y=σy での高さが中心濃度の約0.61倍になること((5))はいずれも正しく、σy を距離に対して一定とみなす(4)だけが実態と逆向きの記述になっています。
覚え方
- y方向の濃度分布は釣鐘型=正規分布。拡散幅σy=標準偏差。
- 下流ほど左右に広がる→σy は距離xとともに増大(一定ではない)。
- y=σy の高さは中心濃度の約0.61倍(exp(−1/2))。
理解度チェック
拡散幅σy は風下距離xに対してどう変化するか?
xが大きくなるほど増大します。煙は下流へ流れながらも乱流で左右に混ざり続け、分布の裾がどんどん広がるためです。距離によらず一定ではありません。
濃度分布のy=σy の位置の高さは、中心濃度の何倍か?
約0.61倍です。正規分布の式にy=σy を入れるとexp(−1/2)≒0.61となり、中心濃度C0の約0.61倍になります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月