令和2年度 公害防止管理者 大規模大気特論 問3を解説|内部境界層と煙の拡散
令和2年度 大規模大気特論 問3は、内部境界層の構造と煙の拡散に関する問題です。選択肢のうち正しいものを選びます。
この問題のポイント
内部境界層とは、性質の異なる地表面(たとえば冷たく滑らかな海と、加熱されて粗い陸)を風が通り過ぎるとき、その境界から風下に向かって発達する乱流層のことです。海上の安定な空気にのって運ばれてきた煙が、陸上で発達する内部境界層の乱流に取り込まれると、地上へ一気に混ざり降りるフュミゲーション(いぶし)が起こります。分かれ目は、選択肢が「内部境界層による煙の拡散」を正しく述べているか、それとも冷気湖や沈降性逆転といった別の現象の話にすり替わっていないか、という点です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(正しい記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 冷たく滑らかな海からの安定な風にのった煙が、陸上の乱流に応じて拡散幅を変える。内部境界層とフュミゲーションの典型で、正しい記述です。 |
| (2) | ×(誤り) | 谷や盆地に冷気がたまる冷気湖の話で、地表面の境界から発達する内部境界層の構造を述べた記述ではありません。 |
| (3) | ×(誤り) | 日中に地表が暖められ安定層が下から侵食されるのは対流混合層の発達の話で、内部境界層による煙の拡散を正しく説明したものではありません。 |
| (4) | ×(誤り) | 高気圧圏内の沈降による逆転(沈降性逆転)の話で、地表面の境界から発達する内部境界層とは別の現象です。 |
| (5) | ×(誤り) | 夜間に形成される放射性の安定層の話で、内部境界層の構造を述べた記述にはあたりません。 |
選択肢(1)のポイント(ここが正解)
内部境界層は、風が性質の異なる地表面の境界を越えるときに、その境界から風下へ発達します。冷たく滑らかな海の上では大気は安定で乱れが小さく、煙は細く水平に流れます。ところが海から陸へ移ると、加熱されて粗い地表が下から大気をかき混ぜ、乱流の強い内部境界層が風下ほど厚く発達します。海上の安定層の中を流れてきた煙が、この発達してくる乱流層に達すると、一気に地上へ混ざり降りて着地濃度が高まります。これがフュミゲーション(いぶし)です。選択肢(1)は、海からの安定な風にのった煙が陸上の乱流に応じて拡散幅を変える、というこの仕組みをそのまま述べており、正しい記述です。
覚え方
- 性質の違う地表面の境界から風下へ発達=内部境界層。
- 海(安定)から陸(乱流)へ→煙が地上へ混ざり降りる=フュミゲーション(いぶし)。
- 冷気湖・沈降性逆転・夜間安定層は別の現象。設問のすり替えに注意。
理解度チェック
内部境界層はどのようなときに発達するか?
風が性質の異なる地表面の境界(例:冷たく滑らかな海と、加熱されて粗い陸)を越えるときに、その境界から風下へ発達します。海上の安定な空気の下で、陸の加熱によって乱流層が下から成長していきます。
フュミゲーション(いぶし)とはどんな現象か?
海上の安定層を流れてきた煙が、陸上で発達してきた乱流の強い内部境界層に取り込まれ、地上へ一気に混ざり降りて着地濃度が高まる現象です。海岸近くの高煙突で問題になります。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和2年度 公害防止管理者等国家試験 大規模大気特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月