排ガスのダスト濃度を測るとき、なぜ「吸う速さ」をそろえる必要があるの?と思いませんか。速さがずれると、測った濃度が本当の濃度とずれてしまうからです。仕組みを整理します。
この記事の要点
等速吸引とは、排ガス中のダスト濃度を正しく測るために、採取ノズル(プローブ)の吸引速度を、排ガスの流速と等しくして吸うことです。
排ガス中のダスト(ばいじん)の濃度を測るときは、ダクトに採取ノズル(プローブ)を差し込み、排ガスの一部を吸い込んでダストを捕集します。
このとき大切なのが、吸い込む速さ(吸引速度)を、排ガスの流れる速さ(流速)とそろえることです。これを等速吸引といいます。
ガスは流線に沿って流れますが、ダスト粒子には慣性があるため、流線が曲がっても粒子はまっすぐ進もうとします。
吸引速度が排ガスの流速とずれると、ノズルの入口で流線が曲がり、慣性をもつ粒子がガスと同じようには入ってこなくなります。その結果、採れるダストの割合が変わり、測った濃度が本当の濃度からずれてしまうのです。
吸引速度が排ガスの流速より大きい(吸いすぎ)場合を考えます。
このとき、ノズルの手前で流線が広がって余分なガスが吸い込まれますが、大きい粒子は慣性でその広がりについてこられず、ノズルに入りきりません。
ガスは多めに入るのに、ダストはそれほど入らない——だから、測定されるダスト濃度は、真の濃度より小さく(過小評価)なります。
吸いすぎると流線が広がり、慣性のある大きい粒子がノズルに入りきらず、測定濃度は真より小さくなる。
等速で吸っていても、プローブ(ノズル)が排ガスの流れに対して傾いていると、やはり粒子が正しく入らず、測定濃度は真の濃度より小さくなります。ノズルは流れに正対させます。
また、こうした非等速・傾きによるずれは、粒子径が大きいほど大きくなります。大きい粒子ほど慣性が大きく、流線に乗りにくいためです。
等速吸引は、ばいじん・粉じん特論で、吸引速度・傾き・粒子径と測定濃度の関係として問われます。
令和7年度のばいじん・粉じん特論(問13)では、吸引速度が排ガス流速より大きいと測定濃度は真の濃度より小さくなり、プローブが傾いても小さくなる、そして非等速によるずれは粒子径が大きいほど大きくなる、という関係が問われました。
混同しやすい用語
等速吸引 と 非等速吸引
吸引速度を排ガス流速にそろえたのが等速吸引、ずれているのが非等速吸引です。
非等速で吸いすぎ(速い)と、大粒子が入りきらず測定濃度は真より小さく出ます。だから、正しい濃度を得るには等速にそろえます。
「速さをそろえる=等速=正しい濃度」「ずれる=非等速=濃度がずれる」とセットで覚えます。
等速吸引とは、何をそろえて吸引することか。
答え:採取ノズルの吸引速度を、排ガスの流速と等しくそろえること
速さをそろえることで、慣性のある粒子も流線どおりに採取でき、真のダスト濃度に近い値が得られます。
吸引速度が排ガス流速より大きいとき、測定されるダスト濃度は真の濃度より大きくなるか小さくなるか。
答え:小さくなる(過小評価)
ガスは多めに吸い込まれるのに、大きい粒子は慣性で入りきらないためです。ずれは粒子径が大きいほど大きくなります。
等速吸引は、ダスト濃度を正しく測るための基本です。
採取ノズルの吸引速度を排ガスの流速にそろえて吸います。吸引速度が流速より大きいと、測定濃度は真の濃度より小さく出ます。
プローブは流れに正対させること、ずれは粒子径が大きいほど大きいこと、もあわせて押さえておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
吸引速度がずれたときに、濃度が大きく出るか小さく出るかの向きが狙われます。
吸引速度が排ガス流速より大きい(吸いすぎ)と、測定濃度は真の濃度より小さくなります。プローブの傾きでも小さくなり、ずれは粒子径が大きいほど大きくなります。だから等速吸引にそろえます。