固体燃料の燃焼形態の違い(分解燃焼・表面燃焼・蒸発燃焼・いぶり燃焼)
エコまる
分解燃焼とか表面燃焼とか、固体の燃え方っていくつもあるけど何がどう違うの?
固体燃料の燃焼形態は、火がつく「もと」が何かで分かれます。
固体そのものが直接燃えることは少なく、多くは熱で気体になった可燃ガスや蒸気が燃えます。
分かれ方は分解燃焼・表面燃焼・蒸発燃焼・いぶり燃焼の4つで、大気特論やダイオキシン類特論では、固体の種類と燃焼形態の組合せが正誤問題で問われます。
なぜ固体燃料で燃え方が分かれるのか
固体は気体や液体と違い、分子が動きにくく、そのままでは酸素と混ざって燃えにくい状態です。
そこで多くの固体燃料は、加熱でまず気体(可燃ガスや蒸気)に変わってから燃えます。
このとき、固体から何が出てきて燃えるのかが燃料ごとに違います。
熱分解で出た可燃ガスが燃えるのか、融けて出た蒸気が燃えるのか、それとも気体を出し切った後の炭素が固体のまま燃えるのか。この違いが、4つの燃焼形態を分けます。
4つの燃焼形態のしくみと代表例
4つを、燃えているものと代表例で並べます。
分解燃焼は、固体が加熱で熱分解し、出てきた揮発分(可燃ガス)が表面から離れた所で炎をつくって燃える形態です。木材・石炭・紙・プラスチックがこれにあたります。実際に廃棄物を燃やすごみの焼却でも、紙・木・プラスチックは揮発分が多く、この分解燃焼が中心です。
表面燃焼は、熱分解する成分をほとんど含まない固体が、固体の表面で酸素と直接反応して赤熱しながら燃える形態です。炎を上げないため無炎燃焼とも呼ばれ、木炭・コークスが代表です。
蒸発燃焼は、融けて蒸発(または昇華)した蒸気が燃える形態で、融点の低い固体で見られます。ろうそく(パラフィン系燃料)・硫黄・ナフタリンが代表です。
いぶり燃焼は、熱分解で出た分解生成物が着火せずにそのまま放出される形態です。炎にならず多量の煙(すす)が出るのが特徴で、線香や点火直後のたき火がこれにあたります。
| 燃焼形態 | 燃えているもの | 炎 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 分解燃焼 | 熱分解で出た揮発分(可燃ガス) | 表面から離れた所に炎 | 木材・石炭・紙・プラスチック |
| 表面燃焼 | 残った固定炭素そのもの | 炎を出さず赤熱(無炎燃焼) | 木炭・コークス |
| 蒸発燃焼 | 融けて蒸発した蒸気 | 蒸気が炎を上げて燃える | ろうそく・硫黄・ナフタリン |
| いぶり燃焼 | 着火しない分解生成物 | 炎にならず多量の煙 | 線香・点火直後のたき火 |
1つの固体燃料でも燃え方は移り変わる
固体燃料は、1種類の中で燃焼形態が段階的に移り変わります。
木材や石炭のように揮発分と固定炭素の両方を含む燃料は、まず加熱で揮発分が出て分解燃焼(炎)が起こります。
揮発分を出し尽くすと、残った固定炭素(チャー)が表面燃焼(赤熱)へと移ります。たき火で炎が消えた後に炭が赤くおき火になるのが、この移り変わりです。
この揮発分と固定炭素がどれだけ熱を出すかは、燃料の発熱量に表れます。
廃棄物を燃やす工業炉でも、固体燃料の燃焼の多くは分解燃焼と、その残渣の表面燃焼です。こうした固体燃料を実際に燃やす方式には、砂ごと沸騰させて燃やす流動層燃焼などがあります。
大気特論・ダイオキシン類特論での問われ方
固体の種類と燃焼形態の組合せや、各形態の説明文を入れ替える正誤問題が定番です。
とくに狙われるのが紙・木・プラスチックの扱いです。これらは揮発分が多く、燃焼形態は分解燃焼です。これを表面燃焼と説明する選択肢が誤りとして出ます。
表面燃焼は、熱分解する成分をほとんど含まない木炭・コークスのような固体で起こる形態で、紙・木・プラスチックとは結びつきません。
理解度チェック
紙・木・プラスチックの燃焼形態は、分解燃焼と表面燃焼のどちらか。
分解燃焼です。揮発分が多く、熱分解で出た可燃ガスが炎を上げて燃えます。表面燃焼とするのは誤りです。
木炭やコークスのように、炎を出さず固体表面が赤熱して燃える形態を何というか。
表面燃焼です。熱分解する成分をほとんど含まない固定炭素が、表面で酸素と直接反応します。炎を出さないため無炎燃焼とも呼ばれます。
ろうそくや硫黄が燃える形態と、その燃えているものは何か。
蒸発燃焼です。融けて蒸発した蒸気が燃えています。融点の低い固体で見られる形態です。
木材1個が燃えるとき、分解燃焼と表面燃焼はどんな順で起こるか。
先に分解燃焼です。まず揮発分が出て炎を上げて燃え、揮発分を出し尽くすと、残った固定炭素が表面燃焼(赤熱)へ移ります。
まとめ
固体燃料の燃焼形態は、燃えているもので分かれます。分解燃焼=揮発分(紙・木・石炭)/表面燃焼=固定炭素が無炎で赤熱(木炭・コークス)/蒸発燃焼=蒸気(ろうそく・硫黄)/いぶり燃焼=着火しない分解ガスの煙です。「紙・木・プラスチックは分解燃焼で、表面燃焼ではない」の1点を押さえれば、組合せ問題はほぼ取りきれます。
参考
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験(ダイオキシン類特論 令和4年・令和6年・令和7年 問1 ほか)・公式正答
- 燃焼工学の標準的事項(固体燃料の燃焼形態=分解燃焼・表面燃焼・蒸発燃焼・いぶり燃焼/無炎燃焼・固定炭素)
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
「紙・木・プラスチック=表面燃焼」と覚えてしまう取り違えが狙われます。
紙・木・プラスチックは揮発分が多く、燃焼形態は分解燃焼です。表面燃焼ではありません。表面燃焼は炎を出さず赤熱する無炎燃焼で、木炭・コークスがこれにあたります。