同じ燃料なのに、なぜ発熱量が2種類あるの?高いほうと低いほう、どっちを使うの?と迷いませんか。違いは「燃えてできた水蒸気の熱まで数えるか」の一点です。整理します。
この記事の要点
燃料の発熱量には2つの表し方があります。違いは、燃焼で生じた水蒸気が水に戻るときの熱(凝縮熱)を含めるかどうかです。
燃料が燃えると熱が出ます。その「発熱量」を表すとき、高発熱量と低発熱量という2つの値が出てきます。
同じ燃料でも値が違うのは、燃えてできた水蒸気の扱いが違うからです。ここを押さえると、どちらが大きいか・なぜ差が出るかが分かります。
燃料が燃えると、燃料中の水素から水(H₂O)ができ、高温の燃焼ガス中では水蒸気になっています。
この水蒸気が冷えて液体の水に戻るとき、凝縮熱(蒸発潜熱)という熱を放出します。この熱を発熱量に含めるかどうかが、2つの値の分かれ目です。
高発熱量(総発熱量)とは、生じた水蒸気が水に戻るときの凝縮熱まで含めた発熱量です。
低発熱量(真発熱量)とは、その凝縮熱を含めない発熱量です。水蒸気が水蒸気のまま排ガスとして逃げていく分を差し引いた値になります。
当然、凝縮熱を含めるぶん高発熱量のほうが大きくなります。実際のボイラなどでは、排ガスは高温で水蒸気のまま出ていくことが多く、利用できるのは低発熱量に近い熱です。
高発熱量は、低発熱量に「生じた水蒸気の凝縮熱」を足したもの。凝縮熱を含むぶん高発熱量のほうが大きい。
高発熱量と低発熱量の差は、燃焼で生じた水蒸気の凝縮熱そのものです。
ということは、差の大きさは燃焼で生じる水の量で決まります。そして水は燃料中の水素から生じるので、結局燃料中の水素が多いほど、高発熱量と低発熱量の差が大きくなります。
逆に、燃料あたりに生じる水の量が同じなら、高低の差も同じになります。
高発熱量と低発熱量は、大気特論の燃焼分野で、定義の違いや、差が生じる水の量で決まることを使う形で問われます。
令和7年度の大気特論(問1)では、「高発熱量と低発熱量の差が等しくなる気体燃料の組合せ」が問われました。差は生じる水の量(燃料中の水素の数)で決まるため、分子中の水素の数が同じ燃料どうしが、差が等しくなります。正解はエタン(C₂H₆)とジメチルエーテル((CH₃)₂O=C₂H₆O)で、どちらも水素が6個=生じる水が同じため、差が等しくなります。
混同しやすい用語
高発熱量(総発熱量) と 低発熱量(真発熱量)
呼び名が複数あって混乱しますが、対応は決まっています。
高発熱量=総発熱量(凝縮熱を含む・大きいほう)、低発熱量=真発熱量(凝縮熱を含まない・小さいほう)です。
覚え方は「高い=水蒸気の熱も足す(総)」「低い=逃げる水蒸気の分を引く(真)」。実際に使えるのは低発熱量のほう、とセットにすると整理できます。
高発熱量と低発熱量は、何を含めるか・含めないかで分かれるか。また大きいのはどちらか。
答え:生じた水蒸気の凝縮熱を含めるのが高発熱量、含めないのが低発熱量。大きいのは高発熱量
凝縮熱を含むぶん高発熱量のほうが大きく、実際に利用できるのは低発熱量に近い熱です。
高発熱量と低発熱量の差は、何で決まるか。
答え:燃焼で生じる水の量(=燃料中の水素の量)
差は生じた水蒸気の凝縮熱そのものなので、水素が多い燃料ほど差が大きくなります。水素数が同じ燃料どうしは差が等しくなります。
高発熱量と低発熱量は、燃えてできた水蒸気の凝縮熱を数えるかどうかで分かれます。
高発熱量(総発熱量)は凝縮熱を含む大きいほう、低発熱量(真発熱量)は含まない小さいほうです。両者の差は、燃焼で生じる水=燃料中の水素の量で決まります。
実際の機器で利用できるのは低発熱量に近い熱、水素数が同じ燃料は高低差が等しい、という2点を押さえておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
高発熱量と低発熱量の差が何で決まるかが狙われます。
差は生じる水の量(燃料中の水素の数)で決まり、分子中の水素の数が同じ燃料どうしが差が等しくなります。エタンとジメチルエーテルはどちらも水素6個で、生じる水が同じため差が等しくなります。