主な温室効果ガスで、いちばん「濃い」のはどれか、いちばん「増えた」のはどれかで混乱しませんか。濃度(量)と増加比(存在比)は別ものです。二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素の関係と、試験での問われ方をまとめて整理します。
この記事の要点
温室効果ガスを比べるとき、大気中の濃度(量そのもの)と、産業革命前(1750年)からどれだけ増えたか(存在比・増加比)は別ものです。混同すると順番を取り違えます。
地球温暖化の主役となる気体を「温室効果ガス」と呼びます。
代表が、二酸化炭素(CO2)・メタン(CH4)・一酸化二窒素(N2O)の3つです。
この3つを並べるとき、「濃度(どれだけ多くあるか)」と「増えた割合(どれだけ増えたか)」を取り違えると順番を間違えます。まず、その2つの見方を切り分けます。
温室効果ガスとは、地表から宇宙へ逃げようとする熱(赤外線)を吸収して、地球をあたためる性質をもつ大気中の気体のことです。
代表的なものが、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)です。
一酸化二窒素は「亜酸化窒素」とも呼ばれます。記号のN2Oで覚えておくと混乱しません。
これらは産業革命以降、人間の活動(化石燃料の燃焼や農業など)にともなって大気中で増えてきました。
温室効果ガスを比べる軸は、大きく2つあります。
1つ目が濃度です。いま大気の中に、その気体がどれだけ含まれているか、という量そのものを表します。
2つ目が存在比(増加比)です。これは産業革命前(1750年)の量を100%としたとき、いまが何%にあたるか、という増え方を表します。
この2つは別の見方なので、順位が一致するとは限りません。
濃度(量そのもの)が最も大きいのは二酸化炭素ですが、産業革命前からの増え方(存在比)が最も大きいのはメタンです。
つまり「いちばん多い気体」と「いちばん増えた気体」は、別の気体になります。ここが試験で問われる核心です。
温室効果ガスは「濃度(量)」と「存在比(増加比)」の2つの軸で見る。濃度はCO₂が最大、増加比はメタン(CH₄>CO₂>N₂O)。
産業革命前(1750年)を100%としたときの存在比は、大きい順に並べると次のようになります。
| 順位(存在比の大小) | 温室効果ガス | 1750年比の存在比 |
|---|---|---|
| 1位 | メタン(CH4) | 約265%(産業革命前の約2.6倍) |
| 2位 | 二酸化炭素(CO2) | 約150% |
| 3位 | 一酸化二窒素(N2O) | 約124% |
この数値は、2022年の世界平均濃度を1750年と比べたもの(WMO温室効果ガス年報)です。
増加比(存在比)はメタンが最大で、CH4>CO2>N2Oの順になります。
くり返しになりますが、濃度の絶対値が最も大きいのは二酸化炭素です。増えた割合(倍率)で見るとメタンが先頭に出る、という点が引っかけどころです。
「どれだけ増えたか」とは別に、「1分子(1kg)あたりどれだけ温暖化させやすいか」という見方もあります。
これを表すのが地球温暖化係数(GWP)です。
GWPは「効きやすさ」、ここで扱った濃度・存在比は「量・増え方」で、別の指標です。混同しないよう、知りたいのが量なのか効きやすさなのかを切り分けてください。
主な温室効果ガスの濃度・存在比は、大気概論で「3つのガスを大小(順番)に並べる」形で問われます。
令和7年度 大気概論 問7では、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素の世界平均濃度を1750年と比べた存在比(%)の大きい順に並べる問題が出ました。
正解は、CH4>CO2>N2Oの順(選択肢(5))でした。
このとき、濃度の絶対値ではなく「1750年比の増加比」を問われている点を読み落とすと、二酸化炭素を先頭に置いてしまい間違えます。
混同しやすい用語
濃度 と 存在比(増加比)
どちらも温室効果ガスの「多さ」に関わる言葉のため混同します。濃度は「いま大気にどれだけあるか(量)」、存在比は「産業革命前からどれだけ増えたか(倍率)」を表します。
見分け方は、問題文に「1750年比」「産業革命前と比べて」「存在比」とあれば増加比の話、単に「濃度が最も高い」とあれば量の話、と読み分けることです。
覚え方は「いちばん多いのはCO2、いちばん増えたのはメタン」と、量と倍率で先頭が入れ替わる点をセットで押さえることです。
二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素のうち、産業革命前(1750年)からの存在比(増加比)が最も大きいのはどれか。
答え:メタン(CH4)
1750年比の存在比はCH4>CO2>N2Oの順で、メタンが約2.6倍と最大です。
大気中の濃度(量そのもの)が最も大きい温室効果ガスは、メタンである。〇か×か。
答え:×
濃度(量)が最も大きいのは二酸化炭素です。メタンが最大になるのは「増加比(存在比)」で見たときで、量と倍率で先頭が入れ替わります。
1750年比の存在比を大きい順に並べると、どの順になるか。
答え:CH4>CO2>N2O
令和7年度 大気概論 問7で、この順(選択肢(5))が正解として問われました。濃度ではなく増加比を問われている点に注意します。
主な温室効果ガスは、二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素の3つです。
濃度(量そのもの)が最も大きいのは二酸化炭素、産業革命前(1750年)からの存在比(増加比)が最も大きいのはメタンで、増加比はCH4>CO2>N2Oの順です。
試験では、並べる基準が「濃度」か「存在比」かを取り違えないことが要です。1分子あたりの効きやすさは別指標(GWP)として分けて押さえます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
3つのガスを大小に並べる問題で、何の順かの読み違いが狙われます。
1750年比の存在比(増加比)の大きい順はCH4>CO2>N2Oです。濃度の絶対値ではなく「1750年比の増加比」を問われている点を読み落とすと、二酸化炭素を先頭に置いてしまい間違えます(令和7年度 大気概論 問7)。