ひ素を含む排水の処理(共沈法・鉄(Ⅲ)塩とアルミニウム塩・5価と3価)
エコまる
ひ素の排水って、どうやって沈めて取り除くの?
ひ素を含む排水は、ひ素だけをそのまま沈めるのが難しく、共沈法で除去します。
共沈法は、別の物質が沈むときに生じるフロックに、ひ素を一緒に取り込ませて沈める方法です。
水質有害物質特論では、共沈剤の種類と、ひ素の価数による除去のしやすさが正誤問題で問われます。
ひ素排水は共沈法で除去する
排水中のひ素は、5価のひ酸イオンと、3価の亜ひ酸イオンの形で存在します。
ひ素はそれ自体を水酸化物として沈めにくいため、共沈剤を加えて生じたフロックに取り込ませて沈めます。これは凝集沈殿と同じく、フロックに巻き込んで固液分離する考え方です。
ひ素を含む排水は他の金属イオンを伴うことが多く、重金属の水酸化物沈殿と組み合わせて処理します。
共沈剤は鉄(Ⅲ)塩がアルミニウム塩より効果が高い
共沈剤には鉄(Ⅲ)塩とアルミニウム塩が使われますが、鉄(Ⅲ)塩(水酸化鉄)のほうが除去効果が高いです。
鉄(Ⅲ)塩は3価の亜ひ酸もよく取り込めるのに対し、アルミニウム塩は3価の亜ひ酸の取り込みが弱いためです。
もう一つの要点が、ひ素の価数による違いです。5価のひ酸は、3価の亜ひ酸より共沈処理がしやすいです。
| 比べるもの | 共沈しやすい・効果が高い | もう一方 |
|---|---|---|
| 共沈剤 | 鉄(Ⅲ)塩(水酸化鉄)は効果が高い | アルミニウム塩は効果が低い |
| ひ素の価数 | 5価のひ酸(As(Ⅴ))は共沈しやすい | 3価の亜ひ酸(As(Ⅲ))は共沈しにくい |
なぜ3価のひ素は酸化してから処理するのか
5価のひ酸のほうが共沈しやすいので、3価の亜ひ酸はあらかじめ酸化して5価のひ酸に変えてから沈めます。
酸化には、オゾンや次亜塩素酸ナトリウムによる酸化処理を使います。
3価のまま共沈させるより、5価にそろえてから共沈させたほうが、ひ素がフロックに取り込まれやすくなります。
3価の亜ひ酸は共沈しにくいので、酸化して5価のひ酸にしてから鉄(Ⅲ)塩で共沈させる。
なお、低濃度の排水を仕上げるときは、キレート樹脂などを組み合わせることもあります。
水質有害物質特論での問われ方
共沈剤の効果の高低と、ひ素の価数による共沈のしやすさを入れ替える正誤問題が定番です。
令和元年度の水質有害物質特論(問6)では、共沈法によるひ素排水の処理として、鉄(Ⅲ)塩の共沈処理効果はアルミニウム塩より高い、鉄(Ⅲ)塩を用いた場合はひ素(Ⅴ)がひ素(Ⅲ)より共沈処理が容易、という記述が正しいものとして並びました。
令和2年度の水質有害物質特論(問6)でも、共沈剤はアルミニウム塩より鉄塩のほうが効果が高い、3価のひ素より5価のひ素のほうが共沈処理は容易、と同じ向きで問われました。
令和5年度の水質有害物質特論(問5)では、共沈剤として鉄(Ⅲ)塩を用いた場合、3価のひ素(Ⅲ)より5価のひ素(Ⅴ)のほうが共沈処理は容易、という記述が正しいものとして出ました。
理解度チェック
ひ素排水の共沈剤として、鉄(Ⅲ)塩とアルミニウム塩のどちらが除去効果が高いか。
鉄(Ⅲ)塩(水酸化鉄)です。アルミニウム塩より除去効果が高く、3価の亜ひ酸もよく取り込みます。
5価のひ酸と3価の亜ひ酸では、どちらが共沈処理しやすいか。
5価のひ酸(As(Ⅴ))です。3価の亜ひ酸(As(Ⅲ))は共沈しにくいので、酸化して5価にしてから沈めます。
3価の亜ひ酸を共沈の前に酸化するのは何のためか。
共沈しやすい5価のひ酸に変えるためです。酸化にはオゾンや次亜塩素酸ナトリウムを使います。
まとめ
ひ素を含む排水は鉄(Ⅲ)塩による共沈法で除去し、共沈しにくい3価の亜ひ酸は、あらかじめ酸化して5価のひ酸に変えてから沈めます。
「共沈剤は鉄(Ⅲ)塩がアルミニウム塩より効果が高い」「共沈しやすいのは5価のひ酸」の2点を押さえれば、水質有害物質特論のひ素排水の問題は取りきれます。
参考
- 水質汚濁防止法/有害物質に係る排水基準(環境省告示)
- ひ素排水の共沈処理(共沈剤=鉄(Ⅲ)塩・水酸化鉄/アルミニウム塩との効果の差/5価のひ酸と3価の亜ひ酸の共沈性/3価の酸化)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論(令和元年 問6・令和2年 問6・令和5年 問5)・公式正答
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
共沈剤の効果の高低と、ひ素の価数の向きを逆にする記述が狙われます。
効果が高いのは鉄(Ⅲ)塩でアルミニウム塩ではなく、共沈しやすいのは5価のひ酸で3価の亜ひ酸ではありません。だから3価の亜ひ酸は、酸化して5価のひ酸にしてから沈めます。