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自動車の排出ガス対策(移動発生源対策)

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自動車の対策は項目が多く、とくに「燃料対策=軽油の何を減らすのか」で引っかかりませんか。対策の全体像と、試験で狙われる「硫黄分」の論点をまとめて整理します。

この記事の要点

自動車のように動いて排出する発生源を移動発生源といい、その排出ガス対策は次の柱で進められてきました。

  • 排出ガス規制の強化(ディーゼル車など)
  • 燃料対策=軽油の低硫黄化(硫黄分の低減)
  • NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)の総量削減
  • 自動車税のグリーン化(環境性能に応じた税制)
  • 交通流の分散・円滑化

燃料対策は「窒素分」ではなく硫黄分の低減です。ここが定番の引っかけです。

工場の煙突のように決まった場所から出すのではなく、自動車のように動きながら排出する発生源を、移動発生源といいます。

自動車の排出ガスには、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)など、大気汚染や健康影響の原因になる物質が含まれます。

そこで国は、車そのもの・燃料・走らせ方の三方向から、いくつもの対策を組み合わせて進めてきました。

移動発生源とは(固定発生源との違い)

移動発生源とは、自動車や船舶など、移動しながら排出ガスを出す発生源のことです。

これに対して、工場やボイラーなど決まった場所から排出する発生源を固定発生源といいます。

固定発生源は施設ごとに規制をかけやすいのに対し、移動発生源は数が多く、あちこちを動き回ります。

そのため、1台ごとの排出基準(規制)だけでなく、燃料の質を変える・税制で買い替えを促す・交通の流れを整えるなど、複数の手段を組み合わせる点が特徴です。

自動車の排出ガス対策の5本柱

これまで進められてきた自動車の対策は、大きく次の5つに整理できます。

対策の柱 内容
排出ガス規制の強化 ディーゼル車など、車から出る排出ガスの基準を段階的に厳しくする
燃料対策 軽油の低硫黄化(硫黄分の低減)。PMの低減や排出ガス後処理装置の機能確保のため
総量削減 NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)の排出総量を地域単位で減らす(自動車NOx・PM法など)
税制(経済的手法) 自動車税のグリーン化。環境性能のよい車を優遇し、買い替えを促す
交通流対策 交通流の分散・円滑化で、渋滞による余分な排出を抑える

このうち試験で狙われやすいのが、2番目の燃料対策です。次でくわしく見ます。

燃料対策のカギは「軽油の低硫黄化」

ディーゼル車が使う軽油について進められたのは、硫黄分の低減(低硫黄化)です。

これは「窒素分の低減」ではありません。低減されたのは軽油に含まれる硫黄分です。

なぜ硫黄分を減らすのかというと、理由は2つあります。

1つ目は、燃料に硫黄分が多いと、燃やしたときにPM(粒子状物質)が増えてしまうためです。硫黄分を減らすことでPMを下げられます。

2つ目は、排出ガスを浄化する後処理装置(触媒など)が、硫黄分に弱いためです。硫黄分を減らすと、後処理装置の性能を保ちやすくなります。

つまり、軽油の低硫黄化は「PMを直接減らす」「後処理装置を効かせる」の両方に効く、土台のような対策です。

軽油の低硫黄化 (硫黄分の低減) PM(粒子状物質)の低減 後処理装置の 機能確保(性能維持)

軽油の低硫黄化は、PMを直接減らすだけでなく、排出ガスを浄化する後処理装置を効かせるための土台になる。

NOxとPMの総量削減・税制・交通流

燃料以外の柱も、まとめて押さえておきます。

NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)については、1台ごとの規制だけでなく、地域全体での総量削減が進められています(自動車NOx・PM法など)。

排出量の多い地域を対象に、走行できる車種を環境性能で絞るなどして、地域の総排出量を減らす考え方です。

税制では、自動車税のグリーン化として、環境性能のよい車を優遇し、性能の低い車を重くすることで、よい車への買い替えを後押しします。

さらに、交通流の分散・円滑化も対策の一つです。渋滞や混雑が減れば、無駄な加減速やアイドリングによる排出が抑えられます。

過去問での問われ方

自動車の移動発生源対策は、公害総論で「これまで実施されてきた対策として正しいか/誤っているか」を問う正誤問題の形で出ます。

令和7年度 公害総論 問9では、自動車に係る移動発生源対策のうち誤っているものを選ばせ、燃料対策を「軽油の窒素分の低減」と書いた選択肢(選択肢2)が誤りでした。

正しくは硫黄分の低減(低硫黄化)です。残りの選択肢(排出ガス規制の強化・NOx及びPMの総量削減・自動車税のグリーン化・交通流対策)は、いずれも正しい記述として出題されました。

「軽油は硫黄分」という1点を押さえておけば、対策名を入れ替えてくる引っかけに対応できます。

まちがえやすいポイント

軽油の燃料対策で、低減する成分を別の成分に書き替える引っかけが狙われます。

燃料対策を「軽油の窒素分の低減」とするのは誤りで、正しくは硫黄分の低減(低硫黄化)です(令和7年度 公害総論 問9)。

理解度チェック

Q.

軽油について進められた燃料対策は、何の成分を低減するものか。

答え:硫黄分(低硫黄化)

PMの低減や、排出ガス後処理装置の機能確保のために重要でした。「窒素分の低減」とするのは誤りです。

Q.

自動車のように移動しながら排出する発生源を何というか。

答え:移動発生源

工場やボイラーなど決まった場所から排出するのは固定発生源です。移動発生源は数が多く動き回るため、規制・燃料・税制・交通流など複数の手段を組み合わせます。

Q.

自動車の排出ガス対策で総量削減の対象となる、代表的な2つの物質は何か。

答え:NOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)

自動車NOx・PM法などにより、地域単位での総排出量の削減が進められています。

まとめ

自動車の排出ガス対策は、移動発生源を相手に、車・燃料・走らせ方を組み合わせて進められてきました。

柱は、排出ガス規制の強化・燃料対策(軽油の低硫黄化)・NOxとPMの総量削減・自動車税のグリーン化・交通流対策の5つです。

燃料対策は「窒素分」ではなく硫黄分の低減です。試験ではこの取り違えが繰り返し狙われます。

公害総論の過去問解説 一覧へ

参考

  • 大気汚染防止法(e-Gov。自動車排出ガスに係る規定)
  • 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)
  • 環境省 大気環境・自動車対策(軽油の硫黄分低減・自動車排出ガス対策の経緯)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 出題範囲・公式正答
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

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