PM2.5とSPMの違い(粒径・環境基準・健康影響)
PM2.5とSPM、どちらも空気中の小さな粒子ですが、粒径の線引きも基準値の単位も違って混乱しませんか。2つの関係と、試験での問われ方をまとめて整理します。
大気中には、すすや土ぼこり、燃焼でできた粒子など、さまざまな大きさの粒子が浮かんでいます。
このうち、工場などで発生・飛散する粒子は粉じんとして大気汚染防止法で規制されます。
そのうち、健康への影響が大きい小さな粒子に環境基準を設けたのが、SPMとPM2.5です。
2つは「どのくらい小さい粒子までを対象にするか」で線引きが違います。
SPM(浮遊粒子状物質)とは
SPMとは、大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が10µm以下のものです。
SPMは Suspended Particulate Matter の略で、浮遊粒子状物質といいます。
粒径が10µm(1µmは1mmの1000分の1)を超える大きな粒子は、比較的すぐ落ちてしまうため対象から外し、長く浮遊して肺まで届く10µm以下の粒子をまとめて扱います。
SPMの環境基準は、1時間値の1日平均値が0.10mg/m³以下、かつ1時間値が0.20mg/m³以下です。
PM2.5(微小粒子状物質)とは
PM2.5とは、粒径2.5µmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を使い、より大きい粒子を除いて採取される、微小な粒子です。
PM2.5は Particulate Matter 2.5 の略で、微小粒子状物質といいます。
ポイントは、2.5µmの粒子を「50%」分離するという採取の定義です(2.5µmをきっかりの境目として「すべて分離」するわけではありません)。
PM2.5の環境基準は、1年平均値が15µg/m³以下、かつ1日平均値が35µg/m³以下です(µgはmgの1000分の1)。
SPMよりさらに細かいぶん、吸い込むと肺の奥(肺胞)まで達しやすく、健康影響が大きいとされます。
PM2.5とSPMの違い
2つの違いを表にまとめます。
| 項目 | SPM(浮遊粒子状物質) | PM2.5(微小粒子状物質) |
|---|---|---|
| 粒径の線引き | 10µm以下 | 2.5µm(2.5µmを50%分離して採取) |
| 環境基準 | 1日平均0.10mg/m³以下・1時間値0.20mg/m³以下 | 年平均15µg/m³以下・1日平均35µg/m³以下 |
| 基準値の単位 | mg/m³ | µg/m³(mgの1000分の1) |
| 2つの関係 | PM2.5は、SPM(10µm以下)のうち特に細かい部分にあたる | |
2つの粒径の関係を図で押さえます。
SPMは粒径10µm以下、PM2.5は2.5µm。PM2.5はSPMのうち特に細かい部分にあたる。基準値の単位もSPMがmg/m³、PM2.5がµg/m³で違う。
過去問での問われ方
PM2.5とSPMは、大気概論で、環境基準値や定義(採取のしかた)、達成率の比較として問われます。
令和2年度 大気概論 問1では、PM2.5の定義が問われ、「粒径2.5µmの粒子を50%分離する装置で採取する」が正しく、「すべて分離できる」とするのが誤りでした。
令和4年度 大気概論 問5では、PM2.5の環境基準(1日平均値)が問われ、正しくは35µg/m³以下で、「25µg/m³」とするのが誤りでした。同じ問題では、PM2.5の環境基準達成率がSPMより低いことも問われています。
数値(2.5µm/10µm、15・35µg/m³/0.10・0.20mg/m³)と、PM2.5の「50%分離」という定義を押さえておけば対応できます。
理解度チェック
SPMとPM2.5のうち、粒径10µm以下と定義されているのはどちらか。
答え:SPM(浮遊粒子状物質)
PM2.5は2.5µmを50%分離して採取する、SPMよりさらに細かい粒子です。
PM2.5の定義で、分粒装置は粒径2.5µmの粒子をどの割合で分離するか。
答え:50%の割合(50%カットオフ)
「すべて分離できる」とするのは誤りです。令和2年度 大気概論 問1の引っかけでした。
PM2.5の環境基準で、1日平均値は何µg/m³以下か。
答え:35µg/m³以下(年平均値は15µg/m³以下)
「25µg/m³」とするのは誤りで、令和4年度 大気概論 問5の引っかけでした。
まとめ
PM2.5とSPMは、どちらも大気中に浮かぶ小さな粒子の環境基準ですが、粒径の線引きが違います。
SPMは粒径10µm以下、PM2.5は2.5µm(50%分離して採取)で、PM2.5はSPMのうち特に細かい部分にあたります。
環境基準は、SPMが1日平均0.10mg/m³以下、PM2.5が年平均15・1日平均35µg/m³以下です。試験ではこの数値と、PM2.5の「50%分離」という定義が繰り返し問われます。
参考
- 大気の汚染に係る環境基準について(浮遊粒子状物質SPM=粒径10µm以下/環境省告示)
- 微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について(PM2.5=年平均15・1日平均35µg/m³以下/環境省告示)
- 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 出題範囲・公式正答
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
PM2.5の定義は、採取のしかた(分離の割合)が狙われます。
「すべて分離できる」とするのは誤りで、正しくは粒径2.5µmの粒子を50%分離する装置で採取します。令和2年度 大気概論 問1の引っかけでした。