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ダイオキシン分析の内標準物質3種の違い(サンプリング・クリーンアップスパイク・シリンジスパイク)

エコまる

エコまる

ダイオキシン分析の内標準物質、3種類あるけど何がどう違うの?

ダイオキシン類の分析では、目的の物質とは別に、量のわかった目印用の物質を加えます。

この目印が内標準物質で、加える段階のちがいでサンプリングスパイク・クリーンアップスパイク・シリンジスパイクの3種類を使い分けます。

3種類は「いつ加えるか」「どの工程の回収率を見るか」が違い、ダイオキシン類特論ではこの違いを入れ替えた正誤問題が問われます。

なぜ内標準物質を加えるのか

ダイオキシン類はごく微量で、試料の採取から測定までに多くの工程を通ります。

採取した試料は、ダイオキシン類を溶かし出す抽出と、夾雑物を取り除くクリーンアップ(精製)を経て、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)で測定します。

その途中で目的物質の一部が失われると、実際よりも低い濃度に見えてしまいます。

そこで、目的物質とよく似た性質をもつ標識物質(炭素13などで目印を付けた物質)を、量がわかった状態で加えます。

最後にその標識物質がどれだけ残ったか(回収率)を測れば、失われた分を見込んで濃度を補正できます。

この方法を内標準法といい、標識した物質を目印に使うため、同位体希釈の考え方に基づきます。

ダイオキシン類の分析には、13C(炭素13)や37Clで標識した内標準物質を使います。

加える順番と、それぞれが見る工程

内標準物質は、分析の流れにそって3か所で別々に加えます。

ダイオキシン類は塩素の数や付く位置が違う多数の異性体の集まりで、内標準物質も対象に合わせた標識体を加えます。

採取・抽出前・測定前の3か所が、それぞれの内標準物質を加える場面です。

加える段階で3種を使い分ける 試料採取 抽出 クリーンアップ GC-MS測定 サンプリング スパイク クリーンアップ スパイク シリンジ スパイク

採取・抽出前・測定前の3か所で別々の内標準物質を加え、それぞれの区間の回収率を見る。

加える場所が後ろになるほど、より下流の工程だけを受け持ちます。

3種類の違い(加えるタイミングと目的)

3種類を、加えるタイミングと確認する工程で並べます。

内標準物質 加えるタイミング 確認する工程(目的)
サンプリングスパイク用内標準物質 試料採取の段階 試料採取から抽出前までの操作の回収率を確認する。
クリーンアップスパイク用内標準物質 抽出の前 抽出からクリーンアップ(精製)までの前処理操作全体の回収率を確認し、ダイオキシン類を定量する基準にする。
シリンジスパイク用内標準物質 最終の測定用試料液(GC-MS注入の直前) GC-MSへ正しく注入できたかを確認し、回収率を計算する基準にする。

サンプリングスパイクが全体の入口、シリンジスパイクが測定の出口を受け持ちます。

それぞれに許容される回収率の範囲がJISで決められており、範囲を外れたときは原因を確かめて測定をやり直します。

ダイオキシン類特論での問われ方

内標準物質の問題は、ダイオキシン類特論でくり返し出ています。

令和7年度のダイオキシン類特論(問15)では、3種類の内標準物質について、確認する工程や使う場面を入れ替えた選択肢の正誤が問われました。

令和2年度(問17)や令和6年度(問20)でも、同じく3種類の役割を取り違える形で出されています。

たとえばシリンジスパイクを「試料採取の確認に使う」と書けば誤りで、シリンジスパイクはGC-MSへの注入を確認する内標準物質です。

まちがえやすいポイント

3種類の「どの工程を確認するか」を入れ替えた選択肢が狙われます。

シリンジスパイクはGC-MSへの注入を確認するもので、試料採取や抽出の確認には使いません。加える順番は、サンプリングスパイク→クリーンアップスパイク→シリンジスパイクの順です。

理解度チェック

Q.

サンプリングスパイク用内標準物質は、どの工程の回収率を確認するか。

答え:試料採取から抽出前までの操作

試料採取の段階で加え、採取から前処理に入る前までの間に失われた割合を確認します。

Q.

GC-MSへの注入を確認するために、最後に加える内標準物質はどれか。

答え:シリンジスパイク用内標準物質

最終の測定用試料液に加え、注入が正しく行われたかを確認するとともに、回収率を計算する基準になります。

Q.

クリーンアップスパイク用内標準物質は、いつ加え、何を確認するか。

答え:抽出の前に加え、抽出〜クリーンアップの前処理操作全体を確認

抽出からクリーンアップ(精製)までの回収率を確認し、ダイオキシン類を定量する基準にもなります。

まとめ

内標準物質は、加える段階で3種類を使い分けます。

サンプリングスパイクは採取〜抽出前、クリーンアップスパイクは抽出〜クリーンアップ、シリンジスパイクはGC-MSへの注入を、それぞれ確認します。

「どの工程を見るか」を取り違えないようにします。

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参考

  • JIS K 0311(排ガス中のダイオキシン類の測定方法)/JIS K 0312(工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法)・環境省 ダイオキシン類の環境調査に係るマニュアル(内標準法・サンプリングスパイク/クリーンアップスパイク/シリンジスパイク)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 ダイオキシン類関係(特論)出題範囲・公式正答(令和7年度 問15 ほか)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。