令和元年度 公害防止管理者 大気有害物質特論 問3を解説|吸収塔の液ガス比
令和元年度 大気有害物質特論 問3は、気液向流吸収塔のX‑Y線図と液ガス比に関する問題です。液ガス比を表す式として正しいものを選びます。
この問題のポイント
塔頂T点(x2, y2)と塔底B点(x1, y1)を結んだ直線が操作線で、平衡関係は別の曲線で表されます。分かれ目は、液ガス比が操作線のどんな量になるかです。塔全体で溶質の物質収支をとると、液が受け取った量と、ガスが失った量が等しくなります。この関係を整理すると、液ガス比(液流量÷ガス流量)は操作線の傾き、すなわち塔頂と塔底のガス濃度の差を液濃度の差で割った値になります。1点だけの濃度の比や、平衡線側の値を使った式は、操作線の傾きになっていません。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(5)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 塔頂1点の濃度どうしの比で、塔頂と塔底の差(操作線の傾き)になっていないため、液ガス比を表しません。 |
| (2) | ×(誤り) | 塔底1点の濃度どうしの比で、こちらも濃度差ではないため操作線の傾きになりません。 |
| (3) | ×(誤り) | 平衡線側の濃度を使っており、操作線(物質収支)から決まる液ガス比とは対応しません。 |
| (4) | ×(誤り) | 平衡側の値を混ぜた差の比で、操作線の傾き(塔頂・塔底の実際の濃度差の比)にはなっていません。 |
| (5) | ○(正しい) | 塔頂と塔底のガス濃度の差(y1−y2)を液濃度の差(x1−x2)で割った、操作線の傾きにあたる式で、これが液ガス比L/Gを表します。 |
選択肢(5)のポイント(求め方の手順)
ガス流量をG、液流量をLとして、塔全体で溶質の物質収支をとります。
- ガスが塔内で失った溶質量は G(y1 − y2)。
- 液が塔内で受け取った溶質量は L(x1 − x2)。
- 両者は等しいので、G(y1 − y2) = L(x1 − x2)。
この式を液ガス比 L/G について整理すると、L/G =(y1 − y2)/(x1 − x2) となります。これはX‑Y線図で塔頂T点と塔底B点を結んだ操作線の傾きそのものです。したがって、この傾きの形で書かれた選択肢(5)が正しい式です。1点だけの濃度の比や、平衡線側の値を使った式は、操作線の傾きではないので液ガス比になりません。
覚え方
- 液ガス比 L/G =操作線の傾き。X‑Y線図の直線の勾配。
- 物質収支 G(y1−y2)=L(x1−x2) から L/G=ガス濃度差÷液濃度差。
- 操作線は物質収支の直線、平衡線は別物。液ガス比に平衡側の値は使わない。
理解度チェック
Q.
X‑Y線図で、液ガス比L/Gは何にあたる?
塔頂と塔底を結んだ操作線の傾きです。物質収支から L/G=(y1−y2)/(x1−x2) と表せます。
Q.
操作線と平衡線はどう違う?
操作線は塔内の各断面の実際の液・ガス濃度を結ぶ物質収支の直線、平衡線は気液が平衡になる濃度関係を表す曲線です。液ガス比は操作線側から決まります。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和元年度 公害防止管理者等国家試験 大気有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月