令和6年度 公害防止管理者 大気関係技術特論 問18を解説|正規形プルーム拡散式の前提条件
令和6年度 大気関係技術特論 問18は、正規形プルーム拡散式を導くときの前提条件に関する問題です。式が成り立つために置いている仮定についての記述のうち、誤っているものを選びます。
この問題のポイント
正規形プルーム式は、煙突から出た汚染物質が風に流されながら正規分布(ガウス分布)状に広がると考える、定常状態のモデルです。分かれ目は「何を一定と仮定しているか」です。前提として一定に置くのは風速と風向で、これによって煙が一方向にまっすぐ流れ、断面の濃度が正規分布になる状況を扱えます。一方、気温そのものを一様一定とすることは前提ではありません。大気の安定度(気温の鉛直方向の変化)は、むしろ拡散のひろがり幅を表すパラメータの中に織り込んで扱う量です。「気温まで時間的にも空間的にも変化しない」と読ませるのが引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 地形の起伏を無視できる平坦地を前提とする点は、正規形プルーム式の仮定として正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 放出強度が時間的に変化しない(定常)ことは、定常モデルの前提として正しい記述です。 |
| (3) | ×(誤り) | 一定に置くのは風速と風向です。気温を一様一定とすることは前提ではなく、気温の変化は拡散幅として扱います。 |
| (4) | ○(正しい) | 風向が定まらない低風速の状態は式が破綻するため対象外とする点は正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 対象物質が空気と一体で運動し、大気中で生成も消滅もしない(保存される)とする点は正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが誤り)
正規形プルーム式で一定と仮定するのは、煙を運ぶ風速と、流れる向きである風向です。この二つが定まっているからこそ、煙は一方向にまっすぐ流れ、流れに直交する断面の濃度が正規分布として表せます。これに対して気温を時間的にも空間的にも一定とすることは前提には含まれません。むしろ気温が高さ方向にどう変わるか(大気安定度)は、煙の広がりやすさを決める要素として、拡散のひろがり幅を表すパラメータのほうに反映させて扱います。したがって、風速と並べて「気温も一様一定」を前提に挙げた選択肢(3)が誤りです。
覚え方
- 一定と置くのは風速と風向。気温を一様一定とは仮定しない。
- 気温の鉛直変化(大気安定度)は拡散のひろがり幅に織り込む量。
- 定常・平坦地・物質保存が前提。風向が定まらない低風速は対象外。
理解度チェック
正規形プルーム式で一定と仮定する気象要素は何?
風速と風向です。これらが一定だから、煙が一方向にまっすぐ流れ、断面濃度を正規分布として表せます。
大気の安定度(気温の鉛直変化)は、正規形プルーム式ではどう扱う?
気温を一定に固定するのではなく、煙の広がりやすさを決める拡散のひろがり幅を表すパラメータの中に反映させて扱います。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和6年度 公害防止管理者等国家試験 大気関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月