令和3年度 公害防止管理者 大気関係技術特論 問16を解説|ダスト採取用ろ紙の選定
令和3年度 大気関係技術特論 問16は、JISによるダスト試料採取に用いる円形ろ紙に関する問題です。硫酸ミストを含まない160℃の排ガスを対象とし、記述のうち誤っているものを選びます。
この問題のポイント
ダストを捕集するろ紙は、採取するガスの温度や成分に合わせて材質と前処理を選ぶ必要があります。ガラス繊維製やふっ素樹脂製は高温に耐え、有機繊維のメンブレン製は高温では使えない、という材質の使い分けが基本です。分かれ目は前処理の乾燥温度で、160℃という高温のガスを測るのに、乾燥温度が排ガス温度に見合わず低すぎる記述が紛れています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(1)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 各選択肢の判定 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ×(誤り) | 160℃の排ガスを測るのに、乾燥温度が排ガス温度に見合わず低すぎます。この温度では採取中にろ紙の質量が変わってしまいます。 |
| (2) | ○(正しい) | 有効直径30mm以上で、ろ紙を通るガスの見掛け流速が0.5m/s以下になる大きさを選びます。 |
| (3) | ○(正しい) | ガラス繊維製は耐熱性があり、160℃の排ガスに使用できます。 |
| (4) | ○(正しい) | ふっ素樹脂製も耐熱性・耐薬品性があり、使用できます。 |
| (5) | ○(正しい) | 有機繊維のメンブレン製は160℃の高温に耐えられないため、使用できません。 |
選択肢(1)のポイント(ここが誤り)
ろ紙の乾燥温度が排ガス温度に見合っておらず低すぎる点が誤りです。ろ紙は前処理でよく乾燥させて質量を安定させ、ひょう量してから採取に使います。ところが乾燥温度が採取するガスの温度より低いと、160℃の高温ガスにさらされた採取中にろ紙自体からさらに水分などが飛んで質量が減り、捕集したダストの重量を正しく量れなくなります。乾燥・恒量化は採取するガスの温度と同程度以上の条件で行うのが原則で、160℃のガスに対して低温での乾燥で済ませている点がひっかけです。
覚え方
- ろ紙の乾燥・恒量化は採取するガス温度と同程度以上で。
- 高温の排ガス=ガラス繊維製・ふっ素樹脂製。メンブレン製は使えない。
- ろ紙は有効直径30mm以上、見掛け流速0.5m/s以下の大きさを選ぶ。
理解度チェック
Q.
乾燥温度が排ガス温度より低いと何が問題になる?
採取中の高温でろ紙からさらに質量が飛んで減るため、捕集したダスト重量を正しく量れなくなります。
Q.
160℃の排ガスにメンブレン製ろ紙が使えないのはなぜ?
有機繊維でできており、160℃の高温に耐えられないからです。高温にはガラス繊維製やふっ素樹脂製を使います。
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和3年度 公害防止管理者等国家試験 大気関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月