令和6年度 公害防止管理者 水質有害物質特論 問5を解説|水銀排水の処理
令和6年度 水質有害物質特論 問5は、水銀排水の処理に関する正誤問題です。誤っているものを選びます。
この問題のポイント
水銀の除去は、硫化物として沈める硫化物法や、硫黄系の官能基を持つキレート樹脂で吸着する方法が中心です。ここでのカギは、硫黄が水銀を強くつかまえる一方で酸化剤に弱いという性質です。選択肢(4)は「水銀キレート樹脂の硫黄系官能基は耐塩素性が高い」としますが、硫黄系の官能基は塩素などの酸化剤で酸化され劣化しやすく、耐塩素性はむしろ低いのが実際です。ここが引っかけです。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)(誤っている記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 硫化水銀は溶解度積が極めて小さく、強酸性でも溶けません。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | 硫化水銀の再溶解を防ぐため、鉄(Ⅲ)を併用する方法があります。正しい記述です。 |
| (3) | ○(正しい) | 活性炭への水銀の吸着は、pH1〜6の酸性側のほうが効率がよくなります。正しい記述です。 |
| (4) | ×(誤り) | 硫黄系官能基は塩素などの酸化剤に弱く、耐塩素性は低いのが実際です。「高い」とする点が誤りです。 |
| (5) | ○(正しい) | 有機水銀はアルキル基の炭素数が小さいものほど、塩素で分解しにくくなります。正しい記述です。 |
選択肢(4)のポイント(ここが誤り)
水銀キレート樹脂は、硫黄を含む官能基(チオール基など)が水銀と強く結びつくことで、微量の水銀までつかまえます。ところが、この硫黄系官能基は酸化されやすく、遊離塩素のような酸化剤があると劣化して吸着力が落ちます。つまり耐塩素性は低いのが弱点で、塩素を含む排水にそのまま使うと性能が保てません。選択肢(4)は、この弱点である耐塩素性を「高い」と逆に述べている点が誤りです。
覚え方
- 硫黄は水銀を強くつかむが酸化剤(塩素)に弱い=耐塩素性は低い。
- 硫化水銀は溶解度積が極小で、強酸性でも溶けない。
- 活性炭への水銀吸着は酸性側(pH1〜6)が有利。
理解度チェック
Q.
水銀キレート樹脂の硫黄系官能基は塩素に強い?
いいえ。硫黄系官能基は酸化されやすく、塩素などの酸化剤で劣化するため耐塩素性は低いです。
Q.
硫化水銀の沈殿は強酸性で溶ける?
溶けません。溶解度積が極めて小さいため、強酸性でも安定に沈殿しています。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和6年度 公害防止管理者等国家試験 水質有害物質特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月