令和7年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問20を解説|UASBによる排水処理
令和7年度 水質関係技術特論 問20は、ビール工場・清涼飲料工場でのUASBによる排水処理に関する正誤問題です。不適切なものを選びます。
この問題のポイント
UASB(上向流式嫌気汚泥床)は、有機物を嫌気性微生物で分解してメタンを回収するメタン発酵系の高効率装置です。糖などの有機物が濃い食品・飲料工場の排水処理に向き、活性汚泥法やラグーンの前段に置いて二段処理する使い方もされます。引っかけの核心はUASBが嫌気処理であるという基本で、槽内は酸素を入れない嫌気状態に保つ必要があり、曝気は行いません。選択肢(3)はUASB槽内で曝気を行うとしており、好気処理の操作を嫌気装置に当てはめて取り違えさせる作りになっています。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(3)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 活性汚泥法の前段にUASBを置いて二段処理する使い方ができます。正しい記述です。 |
| (2) | ○(正しい) | ラグーン方式の前段にUASBを置いて二段処理する使い方ができます。正しい記述です。 |
| (3) | ×(不適切) | UASB槽内で曝気を行うとする点が不適切です。UASBは嫌気処理で曝気しません。 |
| (4) | ○(正しい) | 中温発酵に適した30〜38℃程度まで加温します。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 副生成物のメタンガスでガス発電機を導入することがあります。正しい記述です。 |
選択肢(3)のポイント(ここが不適切)
UASBは嫌気性微生物によるメタン発酵を利用する装置で、槽内は酸素を入れない嫌気状態に保たなければなりません。曝気して酸素を送り込むとメタン発酵を担う嫌気性菌の働きが妨げられ、処理が成立しません。選択肢(3)は「UASB槽内で曝気を行う」と、好気処理の操作を嫌気装置に持ち込んでいる点が不適切です。曝気が不要なことはUASBの利点でもあり、動力を抑えつつメタンをエネルギー回収できます。加温(選択肢(4))はメタン発酵を活発にするための温度管理であって、酸素供給とは別物なので混同しないようにします。
覚え方
- UASBは嫌気処理=曝気しない。曝気とあれば誤り。
- 中温発酵の目安は30〜38℃。加温は温度管理で酸素供給ではない。
- 回収メタンでガス発電。活性汚泥やラグーンの前段に置ける。
理解度チェック
UASB槽内で曝気を行う運転は適切?
不適切です。UASBは嫌気処理で、槽内に酸素を入れると嫌気性菌のメタン発酵が妨げられます。
UASBを30〜38℃に加温するのは何のため?
中温発酵に適した温度に保ち、メタン発酵を活発にするためです。酸素供給(曝気)とは別の管理です。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和7年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月