令和5年度 公害防止管理者 水質関係技術特論 問14を解説|嫌気処理の維持管理
令和5年度 水質関係技術特論 問14は、嫌気処理(メタン発酵)法の維持管理に関する正誤問題です。不適切なものを選びます。
この問題のポイント
嫌気処理は密閉構造で中が見えにくいため、処理水や槽内水質の監視、pH・温度・ガス発生量の管理が要になります。引っかけの核心は有機酸濃度をどう保つかです。有機酸は酸生成菌がつくり、メタン生成菌がそれを基質として消費します。両者のバランスが崩れて有機酸が蓄積するとpHが下がり、メタン生成菌が阻害されます。したがって有機酸は「高く維持する」のではなく、蓄積させないよう管理するのが正しく、これを逆に述べた選択肢が不適切です。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(2)(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| (1) | ○(正しい) | 密閉構造で汚泥の外観や沈降性を常時見られないため、処理水や槽内の水質を監視します。正しい記述です。 |
| (2) | ×(不適切) | 有機酸が高く蓄積するとpHが下がりメタン生成菌を阻害します。できるだけ高く維持するのが望ましいとする点が不適切です。 |
| (3) | ○(正しい) | メタン生成菌の最適pHは中性付近の狭い範囲にあるため、pH管理は最重要項目の一つです。正しい記述です。 |
| (4) | ○(正しい) | ガス発生量の低下時は、配管の漏れを確認したうえで槽内のpHや有機酸濃度を確認します。正しい記述です。 |
| (5) | ○(正しい) | 温度管理は重要で、中温発酵は30〜38℃程度、高温発酵は50〜55℃程度に保ちます。正しい記述です。 |
選択肢(2)のポイント(ここが誤り)
嫌気処理は、酸生成菌が有機物を有機酸に分解し、続いてメタン生成菌がその有機酸をメタンへ変える二段の反応で進みます。ここで両者のバランスが崩れて有機酸が蓄積するとpHが低下し、酸に弱いメタン生成菌が働けなくなります。つまり有機酸は蓄積させないよう低めに保つのが望ましく、選択肢(2)の「できるだけ高く維持するのが望ましい」は向きが逆で不適切です。有機酸濃度の上昇は処理不調のサインとして監視する対象であり、目標にするものではありません。
覚え方
- 有機酸が蓄積→pH低下→メタン生成菌が阻害。
- 有機酸濃度の上昇は処理不調のサイン(監視対象)。
- メタン生成菌の最適pHは中性付近の狭い範囲。
- 温度は中温30〜38℃/高温50〜55℃。
理解度チェック
Q.
槽内の有機酸濃度は高く維持するのが望ましい?
いいえ。有機酸が蓄積するとpHが下がりメタン生成菌を阻害するため、蓄積させないよう管理します。
Q.
ガス発生量が低下したとき、まず何を確認する?
ガス配管の漏れの有無を確認し、そのうえで槽内のpHや有機酸濃度を確認します。
この問題に関連する用語解説
出典
- 一般社団法人 産業環境管理協会「令和5年度 公害防止管理者等国家試験 水質関係技術特論 問題・正解」(公式PDF)
※ この記事の確認日:2026年7月